今回は、ビルの1・2階に店舗を構える小さなメガネショップのご紹介です。
このビルは、間口がそれほど広くない1階部分を分割して2店舗が入れるようにした、ちょっと変わった構造の物件でした。
しかし、若者に人気のあるおしゃれな街の通りに面していたので、目を引くショップを造ろうと、設計するにあたり苦労はしました。
その成果もあり、小さいながらも開放感ある空間が出来上がったと感じます。
では、環境編からお読みください。
尚、什器図も以下のサイトからご覧になれます。並行して見ていただければ、より理解出来ると考えます。
前回に引き続き、通りに面した2階建てのメガネショップ〈什器編〉のご紹介です。〈環境編〉をまだご覧になっていない方は、こちらからどうぞ。 ニッチ風の照明付きディスプレイボックス エントランスを入って、すぐの階段近くに設置し …
小さな面積を上手く利用した平面プラン
このメガネショップは、1階と2階のフロアを利用しています。
1階には売場を構成し、2階には検診カウンターと眼鏡の加工室、そして出来上がりを待つウェイティングサロンを設けました。
エントランス部を見ていただくとわかるように、決して広い間口とはいえない導入部です。
しかも、入り口を入ってすぐの所に600mmの高さまで上がる階段があり、より狭小さを感じさせる厄介なフロアでした。
そこで、1階の売場では壁面什器だけのレイアウトにして、出来るだけ店内を広く見せるようにしました。
2階へ上がる階段前に接客カウンターを設け、2階とすぐ連動出来る短い動線距離となっています。
2階には階段を境に奥面に検眼カウンターと加工室、そしてスタッフルームを配置しています。
極小空間だった1階から開放感ある印象を持ってもらうためにウェイティングサロンにはソファとディスプレー家具だけとしたシンプルなレイアウトとなっています。
多種の照明器具を使って演出した照明計画
続いては、天井伏せ図です。
1階の売場は、600mmもステップアップしていたため、店内の広く見せる必要がありました。
そこで、スケルトン天井にして、白塗装で仕上げています。
その結果、照明器具も配線ダクトを多く取り入れ、器具にはハロゲン球のスポットライトを使用した照明計画となりました。
また、壁面什器の底面に間接照明を取り付け、あたかも什器が浮いたように見せる演出もしています。
かわって2階には、天井を設けてダウンライトを配置し、明るく清潔感もある空間になっています。
照明器具リストも載せておきます。参考にしてください。
ブリックタイルとスタッコ塗装でまとめた外装計画
店舗としては狭い間口ですが、この狭さを活かしてファサードをゲート意匠にしています。
この場所は、メディアでも人気スポットとして取り上げられているおしゃれな街です。人通りの多い通りに面しているため、インパクトのあるファサードにしたいという思いがあったからです。
腐食(エッチング)加工したゲートのフレーム内は、白のスタッコ調塗装をしたブリックタイルの壁面にしました。
この組み合わせは、重厚感とカジュアルさの両方を持ち合わせた店構えにしています。
既存のテンパーライトドアを利用するため、既存枠を覆う形で腐食(エッチング)加工をした太めのゲートを取り付けました。
その内部には間接照明を仕込み、夜間でも際立つようになっています。
また、乱貼りにしたブリックタイルと持ち出しサインが、この間接照明によって立体的に浮き出てくる効果もあります。
ビル外装の角には突き出し看板を取り付けて、遠くからでもショップの存在をアピール出来ています。
看板の底面に取り付けた眼鏡フレームのオブジェも何のショップなのかが一目瞭然でわかりますね。
ただ、このオブジェ、リアルなフォルムを追求し過ぎて線が細くインパクト感が欠けています。
もう少しデフォルメした形状にして、スポットライトも追加すればよりサインとしての効果が上がるでしょう。
白を基調にして明るいイメージの店内展開図
1Fの展開図です。
A、C展開図では、エントランスのテンパードアを入ってすぐに既存のシャッターと階段があり、ちょっと狭苦しい感じですね。(G展開図でも狭さが確認出来ます)
そこで、空間を広く感じさせる効果のある白で店内を統一しました。
白い色は膨張色と呼ばれて、窓のない店内でも光が反射することで明るいイメージにしてくれます。
壁面に取り付けた什器も白で統一し、ガラス棚との組み合わせで透明感ある雰囲気にもなっています。
ストックと壁面に固定したガラス棚2枚だけのシンプルな構成ですが、ディスプレーボックスとミラーボックスをバランス良く配置して変化を付けた見せ方が出来ています。
B展開図ではエントランスから直線上にある壁面なので、この面にはミラーの代わりにサインを取り付けてあります。
D展開図の壁面には、色目をがらっと変えた眼鏡フレームのディスプレーパネルを取り付けて、白い一色の空間に目を引くアクセントとしています。
次に、2Fです。
H展開図とJ展開図には外装のゲートと同じブリックタイルの乱貼りパネルを設置して、外装のゲートを見て感じたショップイメージをより深く印象付けるようにしています。
ウェイティングサロンは落ち着いたカフェの雰囲気を演出するために、ハイカウンターとランダムなディスプレイ什器を据え付けました。
上の画像は、加工室とストックルームの内部を見ています。
ガラス棚とストックだけのシンプルな壁面詳細図
このショップは、壁面造作に関わる図面が2枚あります。
今回は、店舗の規模や行程、そして予算をふまえて関係者の方達と協議した結果、現場での施工範囲を極力少なくしました。
ですので、この店舗の造作に関わる図面は2枚だけになります。
では壁面造作の一つ目、1階売場の壁面詳細図です。
2段あるガラス棚は、壁と左右のボックスに固定してあります。
ガラスと最も接する面積が多い壁面にはスチールプレートをコの字型に曲げたガラス受けを埋め込み、ガラス棚がお辞儀をしないようにしました。
左右のボックスにはコーキング処理だけで持たせています。
腰部のストックは、少しでも広い店内に見えるように、床との間に隙間を設けて浮遊感を演出しました。
底面取り付けた間接照明も、この演出に大きく影響しています。
また、床との間に隙間を設けてオープンにした事で、お客様がより商品に近い位置に立つことが出来ます。
きっとお客様も、手に取りやすいと感じることでしょう。
上部のミラーは女性の平均的な目線を基準として設定し、傾斜角度については作図に関わってもらった女性スタッフに手伝ってもらい、実際にどの角度が適していてるかをシュミレーションして決定しました。
以下サイトでは、この什器についてより有益な情報を解説していますので、是非参考にしてください。
■サイズ ■仕様 W2106×D450×H2020図面参照 壁面:PB下地AEP塗装仕上げ(白)地袋:木工化粧板仕上げ(白)棚:t=8クリアガラス ■備考 背景 2000年頃からお世話になっていた施工会社か …
階段下に設けたストック建具部の壁面詳細図
小さな店舗だけあって、スペースの有効活用は重要です。1Fにある接客カウンターバックの階段下も、ストックとして利用しています。
収納容積はそれほどありませんが、小さな建具を取り付けて掃除用品などを出し入れ出来るようにしました。
カウンターと階段までの寸法が600mmしかないので、ドアハンドルやツマミなどの突起物を取り付けた場合、引っ掛けて怪我をする可能性もあります。
そこで、プッシュ式ツマミを取り付けることにしました。そうすれば、建具面がフラットになるのです。
階段は、既存利用です。白で塗装し直し、蹴上などには新たにPタイルとノンスリップを貼り、手すりだけは黒で塗り替えています。
この図面で、環境編は終了します。
次回から、「通りに面した2階建てのメガネショップの図面事例〈什器編〉」をお送りします。
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