今回から、また新しいレディースショップの事例をご紹介していきます。
某メーカーの人気ブランドのひとつで、シンプルで上質、心地よい服を展開するレディースショップです。
また、店作りも徹底したVMDを駆使し、お客様のニーズにあった魅せ方を展開しています。この店舗はかなり勉強になると思われます。
大人のイメージに仕上げた平面図関連
シンプルで心地良い服を展開するレディースショップの平面図仕様は、全体的にモノトーンを基調として大人のイメージを感じさせる空間になっています。
柱前のショーウィンドが、ショップイメージの打ち出をするメインのディスレプレースペースとして活用されています。
向かって左側の柱前には、隣接するショップと共用のディスレプレースペースでサインとマネキンによる演出をしています。
2本ある柱を上手く利用して見せ場として大きな面を造り、訴求力あるファサードになっています。
壁面は基本的に造作による固定ハンガーとステージで構成しているので、中央にはオープン棚什器多くレイアウトしています。
では、天井伏せ図です。
ベース照明は既存照明を移設して、新規に演出照明用のダウンライトを追加しているので比較的明るいショップとなっています。
また、壁面にも間接照明を多用して壁を浮きだたせる演出をしています。
この照明効果によって、陳列スペースがより強調され、商品が際立つ事に繋がります。
ファサードのアイキャッチが目を引く展開図
A展開図、はファサード面を表現しています。
中央の柱前ショーウィンドではショップのイメージフォトをバックに大きな面でのディスプレーをしてショップのアイキャッチとして大きな役割を果たしています。
向かって左側には隣接するショップと共有して一つのディスプレースペースを構成していますが、バック面の意匠をバランス良く調整している所が分かります。
おそらく同じメーカーのブランドなのでしょう。
B展開図はレジ廻りの展開図で、陳列壁面のゲートとレジバックの意匠を切り替えてゾーンの明確化を計っています。
ただ、ストックの建具とフィッティングルームの建具の高さバランスがちょっと気になる所です。
レディースショップの、展開図02です。
平面図で展開方向を確認しながら理解してくださいね。C展開図は奥面の壁を見ているのですが、単調になりがちな固定ハンガーによる陳列を棚だけのスパンを入れる事でリズム感を演出しています。
又、この壁面は白い部分の面が間接照明付きのパネルで、グレーの壁から浮かして取り付けています。
その為丁度商品が陳列する部分が浮き出た様な見え方になります。
D、E展開図は平面図上で言えば右側のガラススクリーン部分の展開図で、こちらも固定ハンガーになっています。
全てのハンガーが固定式になっているので、商品陳列の際には見せ方のバランス感覚が最も求められるようになりますね。
では、最後の展開図03をごらんください。
柱のショーウィンドの側面と、裏面を見ている展開図です。柱のセンターを境に、ハンガー陳列と棚陳列とを分割しています。
意匠は、壁面と同様に白の木パネルで一旦壁を起こして上部に間接照明と取り付けています。
F展開図とH展開図を見て頂くと、木パネルは柱の奥行きまで行かずにグレーの部分を少し残しています。
これは柱をパネルで巻く場合に良く使われる手法で、パネル部分をより強調させる為にあえて柱の仕上げ面を残しているんです。
シャッターが絡んでいる柱には特に有効となる意匠と言えますね。
各壁面断面詳細図事例
この図面から、各部の詳細図の説明に入ります。
まず、各壁面の詳細図の事例からです。
最初に断面図がどの位置なのか、下記の画像で確認してください。
位置確認をしていただいたところで、A〜Cの断面図をご覧いただきます。
A-A’断面図は、レジ横の壁面と右側フィッティングルーム前の壁面で、ハンガーと棚を木パネルと床面で固定しています。
変わってB-B’断面図は、奥側の壁断面図です。上下の間接照明効果によって、木パネルがより強調されています。
ハンガーも木パネルにからの持ち出しになっているのですが、耐荷重の事を考えパネル内に補強を取っています。
C-C’断面図は、干渉スペースともなる固定木棚部の断面図になります。各棚には、棚下照明を仕込んでいます。
断面図としての表現は間違ってはいませんが、詳細図として3面図で表現した方が廻りの環境も含めて分かりやすい図面となるでしょう。
では、D〜Fの断面図に進みます。
D-D’断面図は、ガラススクリーン部の断面図です。固定棚の、持ち出しパイプをガラスでもたせています。
ハンガーパイプのからの補強用支柱もありますが、加重が下に向かって掛かるのでガラスの割れが懸念されます。
また、ハンガーパイプも同様の懸念がありますので製作業者さんとの協議が必要となります。
E-E’とF-F’断面図は、先にご紹介した A-A’・C-C断面図と収め方は同じです。
売り場内に設置された建具の平面詳細図
このショップ内には、2箇所の建具が設置されています。
フィッティングルームと、ストックルームですね。
ただ、この物件では平面詳細図しか作図をしておりません。ですので、建具図としてはあまり参考にはなりません。
本来は3面図と平面詳細図、断面詳細図があって初めて建具図として成り立ちます。
立面図を描いていないので説明しにくいのですが、この建具はミラー貼りの壁面と同化させる為に枠をあえてプラスターボードと同面にして見せない様にしています。
この手法はFRの建具には良く使う手法です。
また、ミラー貼りの歪みや反りを考慮して一般的な建具よりも若干厚くしているので、開閉時の衝撃をやわらげる為にドアチェックを取り付ける事が必要です。
しかし、枠の形状等でドアチェックが取り付けで出来ない場合もありますのでご注意下さい。
その場合は、スプリング付きの丁番で対応する事もありますね。
フィッティングルームの建具図に続いて、ストックルームの建具図です。
この建具図も平面詳細図しか描いていないので分かりにくいかと思いますが、ご了承下さい。
フィッティングルームの建具と違い、仕上げがシート貼りですが建具枠は同じ収め方になっています。
ドアハンドルも統一意匠としてフィッティングルームの建具と同じものを使用していますが、ストック側のドアハンドルはドアチェックを取り付けているので押し手プレートにしても問題ないでしょう。
このストック建具図で注意すべき点は、建具を開いた時に当たる箇所が無いかどうかを必ず検証する必要がある点です。
特に、ドアハンドルが当たってしまうケースが多いのですね。
このストック建具図ではドアチェックのストッパー機能で対処していますが、ドアチェックない場合は床面等に戸当たりを取り付けたり、建具にクッション付きの戸当たりを取り付ける場合もあります。
「シンプルで心地良い服を展開するレディースショップの作図事例〈環境図〉」は、この図面で終了です。
次回は、〈什器図〉をお伝えします。お楽しみに!
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