最近、メンズスーツ売場の設計依頼があり、百貨店や、GMSなどを見てまわったのですが、やはり暗い売場が多く失礼ながらぱっとしないのが現実でした。

やはり、このカテゴリーは難しいというか、私にとっても課題のひとつです。商品が画一的なだけに面白く、楽しい売場は期待できないのかなって感じていました。

そこで、今回は過去に私が手掛けた、ベーシックなメンズスーツ売場のデータを探し、初心に戻って今後の仕事に活かそうかと考えました。

今回は、それをご紹介します。ほとんどがマニュアル化されましたので、今ではどちらの売場でもよく目に付くパターンばかりです。

整然とした平面計画で商品をより良く魅せる売場づくり

もう13年前の地方百貨店お仕事でしたが、レイアウトを見ていると現在のメンズスーツの売り場と、さほど違いがないが不思議です。

そうなんですよ。紳士の、それもスーツ売り場なんて変えようがありません。ということは、昔も今も何ら売り場に、変化をもたらすことは出来ないのかって思います。

ただ、売り場環境のイメージを演出する小道具や、内装材の変化である程度のイメージ出しが出来るとは思うのですが。

レイアウト的には、かなり年代を感じますが、ある意味、基本といえば基本的なレイアウトだと感じますし、現在でもこのようなレイアウトのショップはあります。 

違いがあるならば、柱廻りの構成にちょっと問題を感じます。
と言うのも、今では、柱巻きに商品を置くことはまず無いですね。そして高く積むことも決してありませんね。

現在では、出来るだけ柱を旨く使いちょっと気の利いた演出を施します。

例えば、着想感や季節感をシーズンごとにディスプレーしてお客様の目を惹くようにしたり、ビジュアルで雰囲気を醸し出したりしているようです。

このレイアウトでは、柱以外では問題は無いと考えます。ファサードでのボリュームのせいで、売り場の見通しが悪くなることだけは避けることが大切です。

通路を広くとっていますので、売り場の奥まで、お客様が回遊できるようにしています。やはり風通しが良い売り場でないと良くないですから。

その他、フロントゾーンは出来るだけ、軽いイメージのハンガー什器などでレイアウトしました。(柱が大きい性もあります)

スーツ売場らしさが感じられる展開図_01

ファサードの立面図

ショップの顔となるファサードの立面図ですが、ここでは、柱巻3本が目立ってます。ただ、ボリュームがありすぎてちょっと重たい感じがします。

昔は、百貨店もGMSもこの形式がおおく見られましたが、最近では、こういった柱に、いきなり商品っていうのがなくなったような気がします。

やっぱり、ファサードでの重たさはタブーであって、あまり頂けません。しかし、中央の柱部はディスプレーを意識しているので残してもいいと考えます。

その他、両サイドの柱は何も施すことなくシンプルに見えるようにしたいです。

以下に一例を挙げておきます。 システムは違えどシンプルな見せ方を意識しています。この程度なら今現在でも通用しますね。

柱にカラーリングするアイデアも、今はどうかとも思えますが、良しとしましょう。参考程度で良いですから見ておいてください。

スーツ売場らしい細やかな什器が並ぶ展開図_02

各展開図

上記は、その他展開図ですが、やはり店舗が広すぎて見にくい展開図となっていますが、ご容赦を!

ここでお伝えしたいことは、壁面の機能です。前述でもお伝えしたように、壁面にはシステムを使って商品をフェイスアウト、ショルダーアウトとそれぞれの機能を満たしてます。

また、壁面の間延びを避けるための要所に仕掛けを必ず設けています。(追ってお知らせします)尚、FR(フィッティングルーム)も集中させて管理面も充実させます。

私が思う限り、この店舗は環境空間及び、造作什器ともかなりの仕上がりと見ます。

展開指示図

上記に、展開指示図を載せておきますので、参考にしてください。こちらもかなり見にくいと感じますがよろしくお願いします。

メンズスーツ売り場の2種類の壁面詳細図

壁面詳細図については、2種類あります。上記は壁面があるタイプです。このスーツ売り場は、コスト調整のために、そのほとんどがマニュアルでのショップ展開でした。

全国の大型GMSでの展開が多かった記憶があります。

壁面システムは、ロイヤルのペッカーサポートを使用しています。高級感を出すためにスリットは埋め込みにしました。その分コストはかかりますが、最低限このくらいは許してもらいました。

以下は、上の作図とは違い壁面が、ガラスFIXとなっているため、システムが使用できません、そのため方立にダボ穴を設けそれにより機能を持たせました。

よく使う手です!

その他、壁面の間接照明も設置しました。店舗の奥部分はどうしても照度をとるのが難しくて……..。これも最低限の機能でしょう。

スーツ売り場は、商品に「華」がありません。といったら怒られそうですが、事実です。カラーも暗めが多いので照明は、基本照明を含め、重点照明もしっかり考えなければならないでしょう。

メンズスーツ売り場の預かりケース詳細図

レジカウンターバックで、私がよくやる手法です。レジバックってなんか抜けているというか、店内でいちばんぼけている空間と思いませんか?

空間をしめるために、こういうかたちで提案し、そこに素材の違いのパネルやクロスを施し、ブランドやショップのロゴを提案するんです。

シンプルでまとまりを感じますね。まあ結果は概ね二重丸をいただくことが多いです。

もう15年も前の話ですが、今ではどちらの店もこの手法が多いように思われます。よく目を懲らしてショップリサーチをしてみてください。

また、カラーで演出したり、全くの異素材でショップのイメージを表現している店舗もあります。

フィッティングルーム(FR)の外観図

店内に配置されるFR(フィッティングルーム)の作図です。

GMSの売り場だけにFRのスペースがかなり狭いのが気になります。メンズスーツ売り場でのFRの寸法は、内々寸法が狭くて1100mm、やはり1200mmは欲しいですね。

ユーティリティーエリアは、お客様にとって快適に使用出来るように心がけてください。

FRの狭いのだけはいただけません。このあたりは、クライアントが何を言おうと踏ん張るところですね。竣工後のクレームは嫌ですからね! 

メンズスーツ売り場らしいVPゾーン考え方

メンズスーツには無くてはならないドレスシャツのコーナーです。

ここでのポイントは、1点掛け(ロコポイント)でスーツ、ジャケット+パンツのコーディネートをしつつ、中央でドレスシャツを陳列、販売するといった考え方です。

店舗もちょっと大型すると壁面がはびこりすぎて、必ずといってお客様は飽きてきます。

随所にこのようなVMDというかVPコーナーを施せば、店の活気もつき、お客様の滞在時間はきっと長くなると思われます。

やっぱり売り場は変化が必要です。

店舗設計者は、このあたりを自分なりに理解して演出が必要と思われるところには、しっかり提案することが肝心です。

ここで、私が考えた壁面の見せ方をパターン化した資料を添付しておきますので、是非参考にしてください。

スーツ売場_それぞれの異なった機能を要する柱巻の造作什器

売場を大きく3つのエリアに分けたそれぞれの柱図をご紹介していきます。まずシャツコーナーのファサード柱図です。展開図の右端です。

基本的に2種類の柱什器で構成されています。ワイド違いです。各什器の正面の腰部分にはシャツのフェイスを見せる様にボックス状にしています。

中央分にはネクタイを丸めて柄とカラーが分かるようにグリット状のケースにしています。上部はネクタイとコーディネイトしたシャツを傾斜棚でディスプレー出来るようになっています。

オーダーシャツの場合このネクタイと一緒に陳列する手法が最も多く使われています。ネクタイの他に、カフスやスカーフ、ハンカチ等も関連アイテムとしてディスプレする事もありますね。

ワイドの広い什器に関しては正面の什器と機能は同じでネクタイケースにミラーを取り付けています。

スーツ・ジャケットのファサード柱図です。ここは、この店舗にとってメインの場所です。ですから、ここにはショーウインドウを設けました。

この柱は各面同じ什器で巻いていますが、コーナーにもパーツが取り付けられるようにスリット柱を支柱に埋め込んでいます。

意匠的には特に凝った事はしていません。柱面を木目の底目地貼りにしている程度です。

最後のファサード柱図です。展開図の左に位置する柱です。
この柱は前述ご紹介したウインドウ付きの柱と同じ仕様となってます。

やっと終わりましたが、ご理解いただけましたか?

かなり古い資料なので、読みずらす作図もありますがご容赦を!次回は、この店舗に配置された什器群をお伝えします。
純恵でした。

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