今日は、先日の続きです。
前回は「ビッグサイズのメンズショップの環境図」でしたが、全てを書くことが出来なかったので、3回に分けた次第です。
前回の記事を見ながら、今回は進めていこうかと感じます。復習していただいた方は、今回でより多くの情報を得ることと感じます。
今回は、壁面の作図事例からはじめ、最終のシングルハンガー(備品)までをご紹介します。
最後まで、よろしくお願いします。それでは始めますが、各什器の位置を理解いただくために、再度平面図を載せておきます。
壁面システム什器の三面図と断面図
最初は、この店舗で一番のボリュームゾーンとなる壁面什器のご紹介です。壁面には、システムを取り付け、フレキシブルな機能を担います。
上段では、フェイスアウトハンガーで商品をしっかりアピールします。下段では、上段で演出した商品のボリューム化を図ります。
このタイプの什器は、どちらの店舗でも見受けられますが、什器の仕上げ(素材)で変化を持たせることができ、様々な店舗での利用が可能だと考えます。
什器の左右にあるちょっと奥まった部分は、干渉スペースとして壁面什器を際立たせるために、あえて設置しています。
仕上げについては、前述した壁面什器と同じ色目の黒ラッカー塗装ですが、全く意匠を施していません。
しかし、色目が同じでも仕上げ方の変化で、見た目は全く違ってきます。 その結果、壁面什器をコの字ゲートが陳列する商品をより分かりやすく、際立てて訴求力を顧客に与えます。
壁面シャツボックス什器の姿図と断面図
上の作図は、壁面シャツボックス什器ですが、前述の壁面什器、ゲートと同じ考え方です。このゲート内に家具としてシャツを入れるボックスと下部の地袋を収めるように考えると理分かりやすいと思います。
構造的にはさほど難しくはありませんが、ワイドサイズを決めるときに基準となるのが、上部のシャツボックスです。
陳列するシャツのワイドとボックスの列で決定すれば問題ないでしょう。下部の芯出しとストックボックスのワイドもおのずと決まります。
ちなみに、ストックトップの傾斜トレーには、ネクタイを陳列します。これも着想感を感じていただくために設置しました。
ガラス棚を設けた壁面システムの三面図と断面図
さて、壁面シャツボックス什器に続いては、ガラス棚を設けたシンプルな壁面システムの三面図と断面図です。
展開図のご紹介時にもふれましたが、柱から伸びる防火ダンパー用の梁型によって、この壁面システム什器には他の壁面什器と同様の意匠を施す事が出来ませんでした。
そのため、あえて仕上げも変えて別什器扱いにしています。 什器自体は単純な構造なので、特に注意すべき事はありませんね。
この壁面システム什器が、ファサード面のディスプレー什器との干渉スペースとなっているので、ある意味レイアウト的には良かったのかもしれません。
壁面ショーケースの三面図と断面図
この作図は、柱巻きディスプレーの左側面に配置したショーケースです。
トップと腰部分には、柱巻きの意匠と同様に面材を取り付けています。ただ、間違いがありました。柱巻きに設置するので背面部分の面材は不要ですね。
現場で施工時には三方のみ面材を廻した形状になっていました。 さすが現場監督です。
この壁面ショーケースで注意すべき点は、ケース扉の大きさに応じたガラスヒンジを選ぶ事です。
一般的にヒンジは、扉のサイズと重量が関わってきますのでご注意下さい。
また、什器トップがガラスの落とし込みとなっていますので、什器の強度も考えもトップにも面材の回り縁を取り付けました。
フィッティングルーム造作図の内外の作図と建具詳細図
次は、フィッティングルーム(以下FR)造作図と建具の詳細図です。 ビッグサイズのショップなので、FRの内部寸法は出来るだけ広く確保し建具も外開きにしています。
仕上げはクロス貼りで、内部の機能も一般的なFRで必要とされるミラーとフックを取り付けています。
建具については両面にミラーを貼っていますが、FR内部にもミラーが2箇所あるので建具に取り付けるミラーは、売場側だけでも支障はないでしょう。
建具の開閉時に起こる何らかの衝撃で、ミラーが割れてしまう事も考えると片側の方が安全だと考えました。
仮に、ミラーを建具両面に付けるなら、開閉をより安全にするためにドアチェックなどのストッパーを取り付けることをお薦めします。
中央什器の三面図と断面詳細図
柱巻きショーケースに続いては、中央什器です。
什器の仕上げは、全て木工下地の黒染色仕上げ、共通意匠の面材とでクラシック感ある什器になっています。
しかし、両サイドののエンドパネルにはクリアガラスFIXの小窓を取り付けて閉鎖的なイメージをやわらげるようにしました。
重厚な造りになっている中央什器なので、重量もかなりあると思い、重量用キャスターを取り付けることにしました。
これでレイアウト替えには、スムーズに動かせます。これって忘れがちなので、注意してください。
メンズショップの中央什器にしてはちょっと高さが低く、男性のお客様にとっては商品を見づらいかもしれません。
一般的な高さでは、1350mmから1500mmが妥当な高さですね。 (反省点)
シングルハンガーラックとTハンガリーラックの作図事例
上記の図面は、中央什器横に設置したシングルハンガーラックです。
シングルハンガーラックは、下部のステージと支柱の色目の組み合わせで随分イメージが違ってきます。
この事例のように、黒染色のステージと真鍮色との組み合わせは特に高級感を感じさせるので、フォーマルやスーツショップには良く使われています。
逆に、白木のステージステンレス色との組み合わせは柔らかさとシャープさを感じさせるので、カジュアルなショップに良く合いますね。
このように、色目の組み合わせにもそれぞれ感じさせるイメージが異なってくるので、ショップの個性にあった色目の選定も設計する上では重要なポイントとなってきます。
シングルハンガーラックに続いては、T字ハンガーラックの三面図です。
このT字ハンガーラックのベースは、他の什器に比べて装飾もなく、非常にシンプルなフォルムになっています。
前述したシングルハンガーラックのベースには支柱と一体化したフレームを廻していたのですが、このT字ハンガーラックは黒染色だけの仕上げです。
ステージの小口だけに、スチールのフラットバーを廻したりする手法もあるので、もう一工夫あれば全体的な統一が出来、まとまりのある店舗になったのですが、ちょっと残念ですね。(反省点)
後記
さて、長い間お付き合いありがとうございます。ご理解できましたか?
店舗を作ることは、私にとってとても楽しい仕事です。今現在も多くの店舗や商業施設の環境設計のお手伝いをしています。
永年の経験が活かされて、活躍の場は大変広くなってきました。昨年などはユニバーサルスタジオのお仕事も頂き大変有難いことだと感じています。
何にでも努力が肝心で、今夏の作図事例だけでは無く多くの店舗を手掛けきたからこそ、今が在るのだと毎日が感謝です。
図面屋を目指す若人のかたに要っておきたいこと、それは経験値です。時間をしっかりかけ何事にも見知をを広げることが肝心です。
是非、このサイトを活用し素晴らしい図面屋さんになってください。小林でした。
尚、ビッグサイズのメンズショップの環境図とその詳細図事例_Part1は、こちらから!
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