先回の続きを進めていきますが、先月の18日に投稿してから1ヶ月も過ぎてしまいました。ご容赦を!
先回は、ショップの環境編を説明しましたが、今回は造作&什器編ということで、店舗内で重要な役割を担う壁面造作や柱造作などをご覧いただきます。
この事例では、俗に言う「作り込み」、すなわち造作がほとんどを占めているので、什器自体はそれ程ありません。
造作については、かなり厄介な作図もありますので、覚悟をもって、ご覧になることをお薦めします。
造作指示図と什器配置図
上記の作図をご覧下さい。これは私がいつも作る造作指示図と什器配置図です。この図面を作業を始める前に作り、スタッフに配っておけば、まず間違えることは、まずありません。
ちなみに、ピンク表示は造作部であり、ブルー表示は単品什器です。この店舗は、それほど広くは無いので良いのですが、もっと広い店舗の場合、この造作指示図と什器配置図があれば、重宝します。
壁面詳細図_①
突き出でた意匠パネルに、ロイヤルのシステムを取付け、棚板照明用のラインコンセントを付けただけのシンプルな造作です。(今では常識的な壁です)
壁面のコンクリート風クロスが、やや暗い感じはありますが、意匠パネルの間接照明が、功を奏しているかもしれません。
図面は、しっかり描けていますが、やはり荒さは目立ちます。引出線が散漫で見にくいです。もう、10年も前の図面ですから、当時、預かった弟子の作図ですが、まだ実力が無かったようです。
壁面詳細図_② ファサードパネル
店舗ファサードパネルの造作図ですが、パネル左に意匠ポールでアクセントを付けています。裏面は、前述した機能と同じです。(断面図参照)
商材がシューズですから、凝った展示せずに、ボリュームで勝負です。(まあ、順当なカタチです)
平面図での断面指示が、右側から左ですが、断面詳細図を見るとその逆になっています。良くあることですが、間違いです。見やすい図面を求めるならば、現状の断面詳細図を左右反転して配置する方が良いでしょう。
壁面詳細図_③ 柱巻造作
この柱の付き方は、ちょっと古い感じがしますが、商材がシューズですから、仕方が無いと言えばそうでしょう。とにかくボリュームで魅せるしか無いわけですから!
柱三面にネットを取付け、シューズをディスプレイする手法は今も変わりはありません。順当なカタチです。
作図的には、これだけ描いておけば理解してもらえます。平面詳細図、断面詳細図共、しっかり理解して描いています。
ただ、平面詳細図でのコーナーの角パイプの納めが、抜けているのが、残念です。 最近ここまで描ける人が少なくなり、悲しく感じます。
ファサード什器詳細図_④ ディスプレー什器
店頭のアイキャッチャー的什器ですが、固定式というのが気になります。まずレイアウトが限られるのと、せっかくの壁面が見えないも残念です。
過去には、私もよく使った手法で、メガネショップなどで使いました。今はもう廃れた感がありますが、マテリアルを変化すればまだまだ現役かもしれません。
作図もこれで充分でしょう。スケッチを使って理解を求めることは良いことと案じます。
壁面詳細図_⑤ ビッグステージ
この壁面什器はかなりボリュームあって、このショップの目玉的存在です。大きな容積のビッグステージに並べられた商材は、豊富なバリエーションを展示できます。
詳細については、今回、割愛します。説明し出すとあまりにも時間がかかるので、別途投稿記事を書きます。
作図的にも、申し分のない図面となっています。
尚、上記什器についてもっと詳しく、お知りになりたい方は、以下からお入りください。
⇒ 壁面アール(R)型什器の作図事例と納め方
壁面詳細図_⑥’
上記の作図は、前述の壁面詳細図_①とほぼ同仕様の壁面造作什器です。機能も全く同じです。
このような壁面造作什器は、4箇所ありますが、ワイド違いでそのほとんどが全て同仕様です。一度見比べるのもよいでしょう。
①、⑥、⑥’、⑤ の壁面什器は、このショップの要であって、⑤のビッグテーブルで、締めくくるといった具合です。ちゃんとストーリー性があります。
逆に、⑤でトータルディスプレーを施して、その流れを①、⑥、⑥’、⑤ でより深掘りした商材を演出することも可能です。
※⑥は割愛します。
壁面詳細図_⑦ 壁面VMD
ショップ壁面は、必ず一辺倒で平坦なイメージになります。これじゃ、見ているお客様は飽きてきます。きっと!
ですから、壁面が連続に続くときは、必ずポイントとなるVMDを施してやります。見え方感が変わると人って、何かを感じ、飽きずに店内を浮動するものです。
このしぐさは、きっと効果があり、しぃっぴの活性化を担います。残念なのが、ここは下部に棚構成で商品を見せていますが、出来れば全てをディスプレイとしたほうが得策だったでしょう。
インロー式で単独で立っているので、横振れ対策が必要と感じます。展示用棚でも助けには成ると思われますが、やはり固定物が必要です
中央什器詳細図_⑧ ビッグディスプレー什器
このショップには、要になる什器が多くて、まとまりが付かないと感じます。壁面のR什器もしかりですが、この什器もかなりの存在感はあります。
やはり、「商材が小さい」ので、商品ボリューム少々有っても、これほどの大型什器ですと、意外とマッチするかもしれません。
この手の什器も、多く見受けられますが、マテリアルの変更で、業態が違えど対応可能どとも感じます。
作図は、丁寧に描かれていますが、指事文字のバランスがもうひとつで、見にくい図面となってます。いずれ、新たにご紹介しましょう。
レジカウンター詳細図_⑨
さて、上記の作図で、スポーツシューズ専門店の作図事例集_Part2の造作エリアの作図は、終わりです。単品什器については、追って載せておきます。
この作図は、レジカウンターを含む、オペレーションエリアです。この店舗の支援エリアといってもいいでしょう。レジ機能以外にも店舗に必要なスペースが多くあります。
それぞれを時間をかけて確認してみてください。これだけのスペースがあれば、十分だと確信します。
作図的には、こちらも丁寧に描かれていますが、1/10の断面図が欲しかった。作図紙面の右上に空白があるので、そこに押し込んで欲しかったです。
機能性を考えた什器群
基本什器_Ⓐ デザインを施したシステム什器
この売場の基本什器になりますが、既製品を使わずにちゃんとデザインされているところがいいですね。
特記することは特にありませんが、棚板の裏から何らかの止めを考えなければ、什器移動のときに注意が必要です。
テーブル什器_Ⓑ,Ⓑ’,Ⓒ ディスプレー什器
ショップフロントで活躍しそうなシンプルな什器です。着想感を提案したりなど、様々な演出が出来ます。また、店内中央では、ラウンド什器としての使用も可能です。
仕上げはスチールのさび色ですが、いろいろな仕上げでバリエーションを作っておくと便利かもしれません。
まとめ
長々と、お付き合いありがとうございました。記事内容は、ざっくりと説明しまいたが、時間があれば、しっかり読み取るようにしてください。
なお、今回のそれぞれの作図についてですが、中には良くない作図もありましたので、時間が許す限りちゃんとした完成品をお届けできるようにします。
最後になりましたが、余談として、店舗設計など、慣れてしまえばそれほど困難な仕事では有りません。ましてや、施工図面などある程度の方程式みたいなものを、理解すれば誰でもかけます。
良い先生につけば、1年間で「もの」になります。私も今現在2人ほど面倒を見ていますが、今年中で一人前です。
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