今回からは、また新しいレディースカジュアルショップ改造物件の図面事例をご紹介していきます。

この店舗は、老舗メーカーが展開するカジュアルブランドです。今回は、什器が全て他店からの転用だったので作図の必要はありませんでした。
造作関連のみの設計です。

オペレーションのしやすさを考慮したレイアウトプラン

レディースカジュアルショップ改装物件の平面プラン

まず、エントランス左側をごらんください。
エントランスの柱に、シャッターと連動する鉄扉がありますね。そのため、什器の設置が不可となっていました。

そこで、右側にガラススクリーンを設けてショップのVPとしています。
いわゆるショップの顔になる場所です。

レイアウトも、バランスの良い構成になっていて問題ありませんね。
奥面にあるFRの配置も、オペレーションのしやすさを考慮したレイアウトになっていて申し分なしです。

理想的な店舗と言えるのですが、何分什器が転用なのでご紹介できないのは非常に残念です。

コンセント図と什器照明図を兼ねた天井伏せ図

レディースカジュアルショップ改装物件の天井伏せ図

この天井伏せ図は、コンセント図と什器照明図も兼用しています。

壁面廻りを見て頂くと、FLトラフが並んでいます。造作壁上部に間接照明ボックスを取り付けて、アッパー照明になっているのです。

この間接照明の手法はもう定番と言っていい程、数多くのショップが使っています。壁面をより際立たせる効果があるので、雰囲気を出すには最適のようです。

この事例での注意点は、エントランスにシャッターボックスがありますので照明器具は出来るだけ浅型のタイプを選ぶ事です。

奥壁面にVPポイントを設けた展開図

レディースカジュアルショップ改装物件の展開図1

A展開図は、奥壁面にあるフィッティングルーム前の展開図です。

中央には、ロイヤルのニートモジュールを用いたパネルがあります。売場内で唯一、陳列方法と仕上げを変えて目立つようしてVPを作り上げています。

これは、お客様の目線を奥まで引き込む効果があるので、非常に良く使われる手法です。

続いてB展開図です。
VPから派生した商品を、この面でボリューム展開していきます。単調な見せ方にならないように、VMDを意識した陳列パターンになっていますね。

レディースカジュアルショップ改装物件の展開図2

続いてC展開図ですが、B展開図と同様の面になっています。

最後、エントランス面を見ているのがのD展開図です。

左の柱横に避難用の鉄扉があり、法規上一切の演出が出来ない場所になっています。売場の顔となるエントランスなので、非常にもったいない所です。

ただ救いは常開の鉄扉で、枠だけが見えてさほど目立たないという事ですね。

エントランスの大きなウインドスクリーン

レディースカジュアルショップ改装物件のウインドスクリーン

エントランスの、ウィンドスクリーンです。
大きいですね。2Mを超えるかなり、大判のクリアガラスを使っています。

 設計当時では安全面の規制が特になかったですが、近年では必ず飛散防止フィルムを貼る事が義務づけられています。覚えておいてくださいね。

セレクトショップなので、スクリーンには4つのブランドサインがカッティングシートで貼られています。
サインによってディスプレーに干渉しないように、目線より低い高さに貼るようにしました。

間接照明で演出したシステム壁面

レディースカジュアルショップ改装物件のシステム壁面

このショップの壁廻りの基本となる、システム壁の詳細図です。

アパレルのシステム壁のスリットは、2種類のピッチがあります。

コストバランスもありますが1200mmピッチを基本とする場合と、300mm・600mm・300mmを基準としたピッチの2種類です。

この事例では前者のコストを優先して1200mmピッチにしていますが、ダブルスリットを使用するのでスリットラインが目立ってしまいます。
この場合、ペッカーサポートに替えた方が良いでしょう。

上部には、間接照明カバーとFLトラフで壁面を際立たせる演出をしています。
この間接照明と同じ高さにある天井吊りボーダーにも棚ライトを仕込んでいますが、照明効果としてはあまり期待できるものではありませんね。

しかも天井からは最近規制が許可され、あまり使われなくなったワイヤー吊りになっていますし、何より棚ライトのジョイント部分では光が途切れてしまいます。

おそらく施工の段階で修正されたと思いますが、もう現存しないショップなので確認出来なかったのが残念です。

ストック側フィッティングルームの外観図と各部詳細図

レディースカジュアルショップ改装物件のフィッティングルーム1

続いては、奥面に2箇所あるフィッティングルームのうち、ストック側のFRを店内から見ています。

フィッティングルームの側面には、クリアなガラス棚を壁面に埋め込み式で取り付けています。
このガラス棚は、商品と言うよりもショップイメージに合った小物備品のディスプレイをする棚です。 ストック建具の小窓と同じ高さにミラーを貼っていますが、これはスリット状の窓をイメージして建具の小窓と連続性を持たせた意匠です。

図面右上の各詳細図は、差し込み固定式のガラスの断面図とFR内のミラーエッジ部詳細図を表しています。

レディースカジュアルショップ改装物件のフィッティングルーム2
こちらは、もう一つのフィッティングルームの外観図と内部展開図になります。平面図、右奥にあるフィッティングルームですね。
内部展開図と、部分詳細図は共通です。

フィッティングルーム横のストック建具

レディースカジュアルショップ改装物件のストック建具

ストックの建具ですが、ストック内部の立面や断面図を描いていいませんので、ちょっと表現不足な図面になっています。
描き直したいところですが、悪い例として掲載します。

壁面のクロスを、枠の戸当たりまで巻き込むようになっています。しかし、 おそらくクロスは剥がれてしまいます。ですので、この場合はFB等で押さえた方が良いでしょう。
もしくは、クロスより粘着力あるシート貼りに替えるのも良いですね。

又、建具もクロスの巻き込みになっていますが、枠と同様の問題から建具の四方にクロス分のチリを設けてフレーム付き建具にする事が一般的です。

お客様の目線を奥まで引き込むディスプレイパネル

レディースカジュアルショップ改装物件のディスプレイパネル

左右のFRに挟まれた、ディスプレーパネルです。
展開図でご説明した通り、売場内で唯一、陳列方法と仕上げを変えた壁面になります。店内奥まで、お客様の目線を引き込む効果があります。

このパネルの奥行きは、左右のFRの開口寸法を半分以上隠す程あります。それは、FRに入っているお客さんの目線が合う事のないように設定しているからです。

このスペースには、FRで試着する商品を掛けて置く為と預かり商品のストック代わりに使用する二つの用途があります。
FRを使っていない時には、上部のロールカーテンを閉めるので見た目の配慮もしっかりしています。

パネルにはニートモジュール(現ベルラ)を使用して、着装感ある陳列でお客さんの購買意欲を刺激します。

ファサードを飾るサインパネル

レディースカジュアルショップ改装物件のサインパネル

このパネルは、ウィンドスクリーン側の壁面に取り付けているサインパネルです。

基本壁面の上にもう一枚プラスターボード(PB)を増貼りし、て壁面に凹凸をつけ、サインベースにしています。
サインはカッティングシートの切り文字なので、下地となるクロスは、極力フラットなものを選んでいます。

しかしサインが剥がれてくる可能性があるため、施工時には注意が必要です。
プラスターボードでは、両端が上手く直角になりません。ですので、プラスターボードの厚みと同じ角材を取り付けています。

以上で、レディースカジュアルショップ改装物件の事例は終わりとします。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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