今回は、昭和レトロな雰囲気とあたたかい家庭料理が楽しめる大衆食堂の事例をご紹介します。
今風に言えばビュッフェ形式のスタイルで、豊富な種類の総菜を自分の好みで自由選んで食べれる食堂なんです。
ではまず、環境図からご覧下さい。
メイン通路がしっかり確保された平面プラン
昔ながらの食堂の定番である引き戸を開けると、すぐ横にかまどが置かれています。
店内に入った瞬間、店中に広がった炊きたてご飯の香りが食欲をそそるという演出です。抜群の効果ですね。
かまどの反対側にはレジスペースがあり、その奥に3つの大きなテーブルがメインの客席です。
テーブル上部には、天井から吊られた大きな行灯照明があります。これもレトロ感を演出するには欠かせないアイテムの一つです。
メインの総菜を並べている厨房とテーブル間の通路は、最も人の往き来が多いエリアです。
そのため、十分な通路幅を確保出きるようにする事が、この食堂を設計する上では特に重要なポイントとなります。
清潔感のある明るさを意識した天井伏せ図
平面図に続いては、天井伏せ図です。
客席は、コンパクト蛍光灯のダウンライトがベースになっています。
テーブル席上部の他に、総菜などが並んでいる厨房器具上部にも行灯を設けています。
注意点としては、食品を扱う店舗なので、総菜が並ぶ箇所への照度は十分明るくするように心掛けるようにして下さい。
この考え方は食品売場と同じように、食材を陳列する棚が暗ければおいしさを感じられず、食欲も半減する事に繋がるからです。
そのため、この事例では行灯下にもダウンライトを設置し、また配線ダクト式のスポット照明を演出照明も兼用して設置しています。
分かりやすいように図面内にピンクの点線で囲っているので、ご参照下さい。
インパクトのある看板でアピールするファサード立面図
次に、ファサード立面図をご覧ください。
米松のピーリング材を主要仕上げにして、親しみ感のある何とも言えない味わい深い店構えになっています。
ちなみにピーリング材とは、合板を下地にして、溝の入った化粧材を貼り付けたものです。
上部の看板部分には、主力となるメニューを大きなピクト文字で表現しました。
遠方からでも、はっきりと認識できますね。インパクトのあるサインです。
中央には内照式のサインで、店名ロゴを大きくアピールする事が出来ています。
格子状の引き戸とのれんは、どこか懐かしさを感じさせ、ちょっと寄りたくなる衝動を掻き立てる演出といえるかもしれません。
また、この食堂の一番のセールスポイントでもあるお米を、外部からでも炊いている様子が見れるように、土間の台所をイメージしたかまどが引き戸の右横に設置されています。
スクリーン上部の換気扇から吹き出てくる炊きたてのご飯の香りと相まって、こちらもおおいに食欲を誘う演出ですね。
木素材で温もり感を出した店内展開図
A展開図は、デシャップカウンター面です。
上部にはファサード立面図にもあったおすすめのメニューを行灯ボックスの盤面で表現しています。
デシャップカウンター本体は厨房器具をそのまま設置し、トレイをスライドさせる天板をこの厨房器具に取り付けています。
そのため、冷たいイメージのあるステンレス製の器具には天板と同色のシート貼り、暖かみのある雰囲気にしました。
B展開図は、デシャップカウンターと反対面のテーブル席面を描いています。
こちらも米松のピーリング材を主な仕上げとして使用し、ファサードから繋がっている趣のあるイメージを店内にも反映させています。
サッシュの腰に貼ったタイルも、天井から吊っている行灯照明と同様に、昔の大衆食堂を演出する材料として良い効果を発揮してくれています。
C展開図は、レジスペースのパーティションです。
そしてD・E展開図の、テーブルと行灯照明の高さ関係をごらんください。取付位置が、少し低いですよね。
この店では、一人で来店されるお客様が大勢いらっしゃいますので、この行灯照明は目隠しの要素にもなっているのです。ですので、目線に合わせて取付位置を決めています。
F展開図では、店内の一番奥にあるカウンター席面です。サッシュ下の壁面に貼ったタイルをこちらにも使い、統一感ある店内意匠にしています。
最後に、トイレ内の展開図です。店内との意匠統一をはかり、店内と同じクロスとタイルを使用しています。
以上が、昭和レトロをイメージした大衆食堂の図面事例〈環境図編〉でした。
次回は、各部詳細図 のご紹介です。
図面屋.comに、ご訪問いただきましてありがとうございました。
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