ここ最近は、百貨店と言えばデパ地下です。そんな中で人気と言えば、やはりベーカリーショップでしょう。
かなり古い作図になりますが、そんなベーカリーショップの作図事例を、今回はご紹介していきます。
百貨店のテナント店で、パンも美味しく、おしゃれな雰囲気を持つ有名なベーカリーショップです。ぜひ、参考にしていただきたいと思います。
「デパ地下のおしゃれなベーカリーショップ」
Part1〈環境図〉以降の記事は、こちらからご覧になれます。
⇒ デパ地下のおしゃれなベーカリーショップ_Part1〈環境図〉
⇒ デパ地下のおしゃれなベーカリーショップ_Part3〈什器図〉
回遊性に重点を置いた平面プラン
レイアウトを見ていると、回遊性を優先したお客様に優しい平面プランだと感じます。
店頭には中央にガラススクリーンを設け、客導線を左右に流すよう工夫されています。また、トレイを持ったお客様が接触することないように、通路幅も充分に保たれています。
これによってお客様の滞在時間は長くなり、販売にも繋がることが考えられます。
さらに平面プランを見ていると、二分された主導線左には商品にボリューム感を見せる棚が続きます。そして、エンドには大きなレジカンターが現れ、スムースに精算!
これって、かなりシステマティックに考えられ効率がとても良い売場と判断します。
平面についてはこのぐらいにして、ここで天井伏図ををご覧ください。
ここで表現されているのは、店内での重点照明であって、この工事は内装工事と考えられています。基本照明については百貨店側での工事ですので、あえて書くことは無いので割愛します。
当たり前すぎる配当図なので、参考程度としてください。
店舗設計で一番大切なのは、平面プランです。これが基本となり店舗が出来るのですが、いざ説明しろと言われれば難しいものと感じます。
詳細図の方が、見所が多いだけあってそちらの方が、チカラがはいりますね。
いずれにせよ、次の展開図からは平面プランより姿、形が見えてきますので、頑張りようがあります。
グラフィックが楽しい展開図
現在は控えめなインテリアだったこのショップも、当時はグラフィックを多用してかなりど派手な演出を施していたようです。
まあ、当時の流行りと言えばそうだったのでしょう。
ただ、ベーカリー商品だけにショップの機能やその他の仕様が変化することはありません。環境を変化させることを主として、お客様にアピールすることだけを念頭に置いた考え方でしょう。
簡単な話、店舗のリニューアルは環境のリニューアルであって商品そのものが変化することはありません。アパレルも、その他物販店に関しても同じことは言えます。
一応、キープランを載せておきますね。
このベーカリーショップ全体の作図については、それほど参考にはならないまでも、レジバックのカラーリング処理は現在でも通用できる考え方です。展開図のD面ですね。
ショップの主要構成は、棚での陳列が大多数とを占めていますので、その他什器に関することはあまりないように感じます。
このままだと、愛想がないので図面の描き方というか表現方法をひとつお教えします。
店舗での図面は、平面図、展開図、天伏せ図と店舗環境での図面が一括りと考えます。その他什器図があります。
上記は、ほとんど当たり前であって、その他コーナー詳細図というモノがあり、これについては店舗の規模に応じて、内容や枚数が変化します。
そんな中にあって、ここではコーナー詳細図を描かないという理由から、先に店舗の主要断面を展開図と平行して描くことがあるのです。
図面内容は次でご説明しますが、これについては、設計者の個人的主観で描きますので、まちまちです。
私の場合は、図面制作の時間を考え出来るだけ簡素にまとめます。
描く必要の無い図面は、描きません。
それに沿って、展開図+主要断面図を一枚にまとめます。これでほぼ店舗環境図は終了です。ただ、ちょっとうるさいクライアントの場合は、もっとご丁寧な図面を表現します。
店舗壁面の主要断面
展開図に続き、主要断面図のご紹介です。
さて、上記の作図は店舗の主要断面図と呼んでますが、他の方がどう呼ぶかは分かりません。まず、展開図を見ていただければ、赤のマーキングで断面指示が見えます。
左から、店内商品陳列棚部、手洗い器部、レジ横の順ですが、この状態だとちょっと解りづらいので平面図を確認しておいてください。
⇒ 回遊性に重点を置いた平面プラン
本来は、上記だけでなく厨房内での断面も必要だと感じますが、後半に参考となる断面図を添付しておきます。
さて、各段面図についてです。注意しなければならない点は、陳列棚の高さとその奥行きです。
ベーカリーショップでは、焼き上がった商品を必ずトレーやカゴの上に載せて陳列するのが一般的です。
その為、棚間の高さと奥行きを決める際は事前にトレー等の大きさを確認しておく事が大事です。
そして、最上段の高さは商品が取りやすい1200mm以下に抑えた方が良いと考えられます。
ベーカリーショップに関わらず、食品の売場を設計する際には仕上げにも気を配る必要があります。
それは、食品を扱う店舗なので棚や、什器の天板等に汚れやキズがつきにくい仕上げ材を選ぶ事なんです。
棚の仕上げにしても、木目の風合いを出すにはやはり染色やクリアラッカー等が一番良いのですが、前述の仕上げでは傷や汚れがつきやすいのです。
これでは来店するお客様も好印象は持てないはずです。
ですから、商品が触れる棚板や、レジカウンターの天板等にはメラミン化粧板を使う事をお薦めします。
話はちょっとそれますが、何故に手洗いがあるかと言いますと、食べ物を扱う飲食や食品売場には衛生上必ず設置する法規があるので取り付けてあるんです。
物販店より、食品売り場の場合は法規的にクリアしなければならない点は多々有るのですが、今回は割愛させて頂きます。
最後に少しだけ図面の表現方法についてのお話ですが、まあ参考程度に読んで下さい。
それぞれの主要断面図を表現しましたが、この作図でも間違いではありませんが、本来は三面図を描く事が順当です。
だって大平面図では分からない部分を断面図や部分詳細図で表現するのが当たり前であって、1枚の図面で理解できるようにするのが必要不可欠な図面だからなのです。
厨房内平面と各詳細図
このサイトでは珍しく、厨房図を載せています。
厨房図にもそれなりの考えと収めが満載ですが、この事例では従来の厨房より簡易な仕様になっていて防水区画も存在しません。
平面図を見る限り、シンクとスライサーか何かが平台に配置されているようですが詳細は定かではないので申し訳ありません。
では、各平面詳細図と壁面の断面(二枚目)をご紹介します。
上記は、売場との出入り口にある建具の平面詳細図ですが、ご理解頂けますか? それぞれの仕上げの見切りが明確に表現されています。
下記の図面も同様に、平面詳細図が表現されていますので、平面図と照らし合わせて下さい。
それでは次に行きましょう。
下記の図面は、厨房内での壁面断面詳細図を表していますが、こちらも平面図に赤でマーキングをしていますので明瞭でしょう。
ザーッと簡単に説明してきましたが、ここには一切のデザイン要素はありませんので失礼ながら走らせて頂きました。
我々、店舗設計者にとって厨房について特に勉強は必要ないかと思いますが、要所はしっかり掴んで下さい。
例えば、今回は存在しませんが、グリスストラップ、側溝、それに厨房区画と防水処理などなどはある程度の知識が必要かと思われます。
時間の許す限り、このサイトでも紹介したいと考えますが、兄弟サイトもありますのでまた。ご紹介します。
では、今回はこれで終了とします。次回から造作図を投稿しようと考えていますので、お楽しみに!
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