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ステーショナリーコーナーの図面事例〈什器図_柱廻り〉

ステーショナリーコーナーの図面事例〈柱廻り〉の平面図

ステーショナリーコーナーの環境図、壁面・レジ廻りに続き、柱廻りの図面事例になります。上記平面図の什器番号と、照らし合わせながらごらんください。

同じフォルムで統一感を出した2本の柱廻り什器

このステーショナリーコーナーには、柱が2カ所あります。
基本的に什器サイズは同じですが、陳列する商品が異なるので機能を変えているのです。

では、平面図左側の柱廻り什器からです。

立面図中央の什器は、可動のガラス棚と抽斗で構成されたディスプレイ什器です。
上部のガラス棚では、左右のフレーム什器で陳列する商品に関連したアイテムをディスプレーして、訴求力を上げるのに役立つでしょう。

腰部には、共通の意匠となっている面材付きの抽斗を取り付けています。実際抽斗になっているのは真ん中だけで、左右はダミーです。

これは、腰部分が円弧状になっているため抽斗の奥行きが取れないからです。収納容積を考慮した結果、中央だけが抽斗になりました。

両サイドのフレーム什器は、主に葉書やカード類の商品を陳列する什器です。
シーズンによって特化商品を入れ替える事も出来るように、柔軟な機能にしています。上部には、什器のフレーム内におさまるぐらいの高さまでペンダント照明を落としてきています。

アイディア的には面白いですね。

下の画像は、各什器の断面図です。

この什器、ひとつ残念なことがあります。
断面図でもわかるように、最下段にストックないしステージがない点ですね。後々ご紹介しますが、売り場内にあるほとんどの什器には、腰にストックが付いているんです。

これは、このショップで取り扱う商品が小さい事から、低い位置での陳列には向かないからなんです。
陳列高さが低ければ低い程、お客様の目に触れる機会が減るのでステーショナリーや雑貨ショップ等では、腰のストック高さも重要になるのです。

では、右の柱廻り什器に進みます。

陳列商品としては、高価な万年筆や筆記具、雑貨類等です。

全体の平面図を参照していただくと、この柱付近の什器はショーケースで構成している事が分かります。
他よりも高価な商品のため、オープンにせず扉を取り付けました。

この什器の断面図です。
中央にレイアウトされた什器は、什器No. Gです。先ほどご紹介したものと同じですので、割愛させていただきました。

汎用性の高いラック什器

壁面・レジ廻りの両サイドにある、ラック什器です。
ステーショナリーの商品を扱う中では、機能的に最も汎用性の高い什器と言えますね。

腰には、レジエリアと同じ意匠の引き出しを設けてストックとして活用できます。腰高も600mmあれば、陳列している商品が見やすく、手に取りやすいですよね。

また、将来的なレイアウト変更も考えて、単体でも配置出来るように裏面にはダミーの引き出し意匠を施しています。

しかし、什器の奥行きには注意して欲しいです。図面上では450mmの奥行きで設定していますが、単体設置の事を考えるともう少しあった方がいいですね。
単体として見た時のフォルムが若干細いので、600mmぐらいもあれば十分でしょう。

尚、この什器は中央エリアにもレイアウトされています。什器No.I-2は、ワイドが小さいので抽斗が2スパンになりますが、機能は同じです。

間仕切りの役目も果たすシェルフラック

次に、左側の柱横にある背の高い什器をご紹介します。什器高が、1800mmもあります。
ステーショナリーショップでは、これほど高い什器を使って陳列する商品はありませんが、別の役割があって高くしているんです。

壁面で間仕切られたテナントに比べて、中央の売場では見通しを良くする為に高い壁は殆どありません。
施設側の高さに関する規制もありますが、色々な手法で各売り場を区切る工夫がされているんです。

例えば、広めに確保した売場内通路や低い造作壁、そして什器を使ったりです。
中でも、規制の範囲内の高さに設定した什器を使い、一目で商品構成が明確にわかるように区分けしているケースが多く見られます。

そこで、この事例での区分けが分かりやすいように平面図にマーキングをしてみました。

赤い点線で囲われた什器を境に、大きく4つの商品グループに分けているんです。
この什器高を変えることに加えて、仕上げにも変化を与えるとでより一層グループ分けが明確化できるんです。

是非、一度試して見て下さい。

ここでご紹介する間仕切り用什器は、サイズが最も大きいタイプで、絵はがきやバースデーカードなどを正面の絵柄がわかるように陳列します。

そのため、棚の前面にはコロビ止めと倒れ止め用の細いパイプシャフトを取り付けています。

上置き台付きディスプレーテーブル

什器No. J、間仕切り用什器前にレイアウトされた、上置き台付きディスプレーテーブルです。
主に、レターセットや封筒をディスプレーするテーブル什器となっています。

テーブルの天板下には、統一意匠でもある面材を取り付けた両面仕様の抽斗です。
書斎のデスクを連想されるかのようですね。

この抽斗は単に商品をストックするだけでなく、あえて引き出した状態で商品をみせる場合もあります。リアル感のある演出で、訴求力も向上します。

単に商品をテーブルの上に並べるだけではなく、トレーや演出備品を使って柄や色などを分けたり、イラスト葉書とセットにしてみたりと様々な見せ方が考えられます。

天板上部に固定した上置き台には棚下照明も取り付けているので、より商品が際立ちそうですね。

このディスプレイテーブル什器は、店頭にもレイアウトされています。ワイドが少し大きくなりますが、機能面は同じです。

アンティーク風接客用テーブル

右柱横に、ショーケースと一緒にレイアウトされた接客用のテーブル什器です。
面材は使われていませんが、仕上げや抽斗の取っ手など他の什器との統一感があります。

ただ、脚の形状には注意して下さい。

床面に近づくに従って、脚が細くなっていますよね。
フォルム的にはアンティークなデザイン家具っぽくみえますが、あまり細くすると耐久性が低下します。床面と接する所は、少なくとも25mmから30mm程度のサイズにして下さい。

それ以下になるとアジャスターも取り付けにくくなりますし、なにより天板を支えきれなくなります。
場合によっては、脚に補強用として角パイプを埋め込んで補強する必要があります。

ただ、手間もコストも掛かってしまうのであまりフォルムだけを追求しない方が得策ですね。

高さで訴求力を高めるタワー型ショーケース

タワー型ショーケースです。
ジュエリーやアクセサリーショップにおいて、角部分に設置されているのを良く見かけますね。

低いショーケースと組み合わせる事で、高低差を付けた見せ方ができます。
それにより、ケース内でディスプレイした商品をより際立たせる事が出来るんです。

これはケースの高さを上げることで、お客様の目にすぐ入るようにして訴求力を高める効果があるからなんです。

ケースの高さについての注意点

注意することは、最も視認性のある高さ設定にする事と、隣接する什器とのバランスです。
高さは、だいたい1500mm前後がタワー型として一番適しているでしょうね。
そして、腰高は他のショーケースの天板と合わせてバランス良くするようにして下さい。

高級商材を陳列するショーケース

次に、タワー型ショーケースに並んで置かれた、ショーケースです。
少し高級なペンや、それに関する雑貨類が並べられます。

他の什器に比べて、とてもシンプルなフォルムをしていますね。
ただ、何故ダミー抽斗の意匠をこの什器に施さなかったのか?
理由は分かりませんが、これでは統一感のないデザインになっています。

しかし、意図的にデザインを変えて他と差別化して強調するデザインもあるので一概に間違っているとは言えませんね。

さて、このショーケースについては意匠と言うよりお客様が立つ面に注目してみましょう。
まずは下記のイメージ画像をご覧ください。

3タイプの什器側面図ですが、それぞれ足元や腰の形状が違っているのが分かりますよね。
では、どのタイプが最もお客様が自然に什器の側へ近づけるでしょうか?

正解はBのタイプで、最も近づきにくいのはCのタイプなんです。

これには、腰部分の形状と足元の空き空間が大きく関係しているんです。
残念ながらご覧いただいている今回のショーケースは、Cタイプに属してしまっています。

まずはAのタイプですが、足元を大きく開けています。
こうすることで、お客様の靴が什器に当たらずより近づける事になるんです。

次にBのタイプですが、Aタイプの足元は同じですが腰面を少しセットバックさせています。
これでAタイプよりもっと什器に近づけます。

最後にCタイプですが、足元も空きがなく腰もストレートのままです。
このタイプが、最もお客様が近づきにくい什器と言えます。

つま先から足首までの短い距離ですが、これだけでも商品の見やすさに大きく関わってきます。
このように、ちょっとした工夫やアイディアでお客様に喜ばれる事があるので是非参考にして見て下さい。

続いては、ショーケースエンドに設置したコーナー什器についてです。

この什器はショーケース等をコの字に配置した時のコーナーに設置して、一体感を出す為に使うものです。
単にショーケースを繋げるだけではなく、一つのディスプレイスペースとして活用できる什器なんです。

ディスプレイとしては視認性が低い位置にはありますが、天板に内蔵したダウンライトで引き立つようにしています。
又、ガラストップに変えてみても商品が見えやすくなって、訴求力は上がるでしょうね。

以上で、ステーショナリーコーナーの図面事例〈柱廻り〉は、この記事をもって終了です。次回、中央エリアの什器をご紹介します。
最後までお付き合い、ありがとうございました。

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