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ステーショナリーコーナーの図面事例〈環境図_壁面・レジ廻り〉

ステーショナリーコーナー壁面・レジ廻りの平面図

今回から、各部造作図と什器図の事例に進みます。
前回でもご説明したとおり、ステーショナリーコーナーは図面枚数が多いので、大きく3つのエリアに分けてご紹介していきます。

また、各什器には番号を付けて整理していますので、合わせて参照下さい。

では、壁面とレジ廻りです。
環境図をまだご覧になっていない方は、こちらからどうぞ。
⇒ ステーショナリーコーナーの図面事例〈環境図〉

葉書ディスプレイ用壁面造作の外観図

まずは、このショップで唯一造作壁を設けているエリアのレジ廻りの壁面造作です。特徴としては高さを活かした陳列が出来る点にあります。

かといって、量販店のようにどれだけの量を陳列出来るかという所ではありません。唯一の見せ場としてとらえ、どうすれば見やすく分かりやすい陳列が出来るかを、注意して設計すべきなんです。

上部の間接照明付きパネルでは、葉書をディスプレイする為に、専用のパーツを作って他とは違う見せ方を試みています。

葉書の場合、表の絵柄がよく分かるように棚とコロビ止めを使ってマガジンラックの様にディスプレイすることが最もポピュラーですよね。

イメージとしてはこんな感じです!

イメージ画像提供元:abayaram2008

このコーナーでは、アルミの曲げ材と木目シートを使って、バランス良く6段取り付けました。

尚、上記の什器図について、より詳しく知りたい方は、以下サイトへお進みください。
また、興味のある方も是非、お立ち寄り下さい。

続いての図面は、サイズ違いの外観図です。2スパン分あります。ここでは、腰部のショーケースについてふれてみましょう。

ワイド1250mmものショーケースの抽斗を、小割にせず大きく取っていますね。
一応手ジャクリを2箇所設定していますが、実際に引き出す時には一苦労ありそうです。前板のガラスと抽斗部の重さで、引き出す時に比較的大きな力がいるのではないかと考えます。

抽斗を2分割にすればこの問題は解決しそうですが、デザイン性を考えると、そう簡単にはいかないものなのです。

分割にすると、前板ガラスにも勿論ラインがはりますよね。腰のストック扉とのラインとは合ますが、大胆さが薄れてしまうのです。

デザイン性を優先することは決して間違ってはいませんが、使い勝手が良いかが少し心配になります。

次にケース内に注目して見ますと、照明が全くありません。
これは上部の間接照明で賄えると考えた結果ですが、距離が少し離れすぎて明るさが足りません。

やはり商品を明るくして高級感を演出するのならば、ケース内に照明器具を設置するべきでしょうね。
この場合だと、スタンド型照明が適しているのではないでしょうか?

ゲート風に配置されたタワー什器

A-1,A-2のコーナーに設置した、タワー什器の外観図です。

展開図をご紹介した際に書いていたように、腰の抽斗は片面をダミーにしています。このダミー抽斗は、ショップの一意匠としてレジエリアでは多用しています。

誰もが一度は間違って引いてしまう、トリック的な仕掛けと言えるでしょう。
この仕掛けは様々なショップに応用でき、お客様に驚きながら買い物を楽しんでもらおうというデザイナーの意図が伺えます。

極端に言えば、単に目地加工だけでも同じような効果を得られる事も出来ますよ。
今回場合は、開かないと思った所が開いたりといった逆のトリックです。

そのダミー抽斗の位置は、本来隣のショーケースの高さか、ディスプレイパネルの下端に合わすとより綺麗に見えます。
ですが、他の同じ意匠をした抽斗とのバランスが悪くなってしまう事から最も近いラインに調整した事を覚えています。

続いて、同サイズで意匠違いのタワー什器です。

このタワー什器の腰部は先程と同じ意匠なんですが、腰から上部に間接照明を取り付け、ゲートのように見せています。
同意匠、同サイズの什器がカウンターエリアの両端にあるので、その中央にあたるこのタワー什器には他の2台と少し差別化して上部の意匠を変えているんです。

抜粋した展開図で分かるように、ゲート風にした事で視覚的に意匠と機能の両方を切り替える効果を得られるんです。

続いて、トップのボーダーについてですが、カウンターエリアを明確に位置づけする役割が大きいですね。又、縦に流れるフォルムをこのボーダーで押さえる意味合いもあるんです。

一度、ボーダーがない売場を頭の中で想像して見て下さい。何ともしまりがない売場が見えてきませんか?
やはりあるとしまりがあって、且つ遠方からの視認性も高くなるので不可欠ですね。
※ただ大きさや形状はバランスが大事なので、そこは注意して下さい。

次は、後ほどご紹介する包装カウンター右横に設置している什器です。

什器No.B-1と見え方は全く同じなんですが、腰部の抽斗はダミーとなっています。
ダミーといっても、ちゃんとストックの扉としての機能はあります。上部に手ジャクリ加工を施す為に、20mm程の空きスペースを設けています。
この結果、各ダミー抽斗の高さは先回のものに比べ若干小さくなり、かつ段数も1段多くなってしまいました。

レジエリアの両端に同じ意匠を用いて統一感を図っているのに対して、ここだけ段数が違うのというのは残念ですね。
しかも側面には意匠がなく、単に染色仕上げのみとなっていますよね。なぜ、ここにもダミー抽斗の意匠をつけなかったのでしょうか?

連続した意匠を止めてしまって、惜しいです。
どう考えても、ここにダミー抽斗の意匠を施すことによって問題が発生する思えないのです。

折角レジエリアを連続した意匠を用いて、統一感を演出しているのに本当にもったいないです。

こちらは、什器No.B-3の真後ろに設置しているタワー什器です。

このタワー什器は腰だけでなくボーダー下までダミー抽斗にしています。
ここまで連続する抽斗だと少しうるさい印象も受けますが、レジバックであまりお客様の視界に入らない所なのが多少助かっています。

実際には開き戸にしてストックとして機能させていますが、レジバックにここまでの意匠が必要だったかは疑問が残ります。
あくまでも、デザイナーの意向なのでこのままで設計しました。

シースルー感を重視した雛壇型オープン棚什器

レジエリアの左右に、シンメトリとなるように設置した雛壇型オープン棚什器です。

空間規制もあり、エスカレーター前に設置するのでシースルー感を出す事が前提となっていました。
しかし、単に背面をオープンにした什器を並べるだけでは訴求力が若干足りませんよね。

そこで、雛壇型にして陳列にも動きを与えて、エスカレーターに乗っているお客様に対してもアピール出来るようなフォルムにしたんです。
また、各段の仕切りも互い違いにずらして、単調な見え方にならない様に工夫しています。

ここで、このフォルムになる前の別案と比較して見ましょう。

壁面什器として定番の、フレーム什器の高さを変えて並べているのですが、どうでしょう?これでは各什器単体での演出しか出来ないと共に、陳列の仕方も単調ですよね。

それに、ディスプレイとして訴求力も低いです。
結果、陳列にも自由度を与え、かついろいろなディスプレイも出来るオープン棚什器が最も適していると言えます。

この什器の設計上での注意点

注意することは、仕切り板と各棚板とのバランスです。
上から2段目と4段目の棚板エンドを見てもらうと、仕切り板から500mm以上離れていますよね。
この状態で、お客様がもたれかかれば折れてしまう恐れもあります。いくら棚厚を厚くしても、見た目に少し危なそうですよね。
こういった場合、最上段のように仕切り板に近い所で棚板を止めるか、全く異素材で形状の違う支持柱などを取り付ける事が考えられます。
最も重要なのはバランスで、あまり仕切り板のピッチを細かくしてしまうと、返ってディスプレイの自由度が下がってしまうので注意して下さいね。
最後に改善点として、各棚にミニダウンライトを取り付けておくとより商品が引き立ってくるので出来るだけ木棚の際は、照明器具の事も考慮してください。

シンプルなフォルムに仕上げた包装カウンター

この図面は、包装カウンターという表現が最も近い呼び方でしょう。
平面図を参照してください。⇒ステーショナリーコーナーの平面図

レジ台は、壁面側に設置してあるのがお分かりになれます。そうなると、このカウンターは商品をギフト用などのために包装する什器となるんです。

周りの造作意匠を引き立てる為、カウンター自身はとてもシンプルなフォルムにしています。
その結果、この什器は意匠について特記する所はありません。

そこで今回は、もう一工夫してより機能面を充実させたり、商品の訴求力を高めたりする方法を考えていきますね。
まずは機能面についてです。

レジ台が別の所にある事から、このカウンターには一切レジ関係の機能はありません。しかし、繁忙期になるとレジ1台ではまかないきれない場合もあります。
その為レジ打ちに最低減必要な電源を確保しておくと、いざというときに便利ですね。

天板に配線孔を設けるか、家具コンセントを取り付けておく事で解決できます。ただし、内部に配線開口を設けておく事はお忘れ無く!

次に訴求力アップの為の一工夫ですが、アパレルショップにも良くあるショーケースを組み込む事です。単に会計をするだけでなく、カウンター上でも商品を見せて訴求力を上げるんです。

何気ないショップスタッフとの会話の中で一番の売れ筋商品等を直ぐに出せるようにしておけば、お客様の購買意欲に火を付ける事も出来ますしね。

以下サイトでは、この什器について、より有益な情報を解説していますので、是非ご覧ください。

コンパクトなレジ台の外観図と利便性について

正面は、レジエリアで共通している抽斗のダミー意匠が床からボーダー下まで連ねています。
タワー什器の記事でも触れましたが、この天地までのダミー意匠はあくまでもアクセントとして使った方がしつこくなくて良いですね。

さて、このレジ台は機能的には全く問題ありません。ですが、使いやすさを考えると改善が必要なんです。
こちらの拡大した平面図をごらんください。

レジ台横に、空きスペース(青点線で囲ったところです)がありますよね。このスペースは、レジ打ちをする為に設けたものなんです。
レジ台を隠す事と、抽斗のダミー意匠を正面に施す為にわざわざレジの向きをかえて、空きスペースを作ったのだとわかります。

しかし、この空きスペースではレジの前に立つだけで精一杯になり、腰にある抽斗やストックを開ける事はできません。少なくとも、レジ前には700mm以上は必要です。
しかもレジを打つ時に、右側に壁があるととても作業し難いんです。

そこで、作業性を考えるとレジは壁に向かって打つほうが良いでしょうね。結果として下記の様な平面図でもいいのではと考えます。

尚、今回はレジ台の使い勝手だけを優先してこのレイアウトにしてみましたが、他にも対処策はいろいろあると思いますので、考えてみて下さい。

カウンターバック作業台の外観図とボーダーについて

この図面は、レジ台のすぐ横に天袋とセットになった作業台です。ご覧の通りレジ台との間に空いた空間がありますよね。

見た目にどうでしょう?ぽっかりと何もない空間で間が抜けてしまっています。
その原因は、先ほどの記事に記載しています。

さてこの作業台、これといった意匠をほどこしてはいません。なので今回は、上部のボーダーと手元灯について注目して見ます。

カウンターバックとなると商品を陳列したり、ディスプレイしたりする売場とは違い、ショップスタッフが主に作業する場所です。

この場所にまで、果たしてボーダーが必要かどうかです。

レジエリアの外周にボーダーを取り付けて、強調する事は何処のショップでも使っている手法です。しかし、どことも繋がらない単独のボーダーは意匠的にも無駄のように感じますね。
コストも、短い距離とは言えかかってしまうので、高さだけを合わせた幕板でもいいのではないでしょうか?

続いて、天袋を設置した場合の照明についてです。
物販、飲食を問わずレジバックに天袋を設置するショップは多いですよね。
その際、注意して欲しいのが、手元を照らす照明です。

照度が十分で、作業時に手元が明るければ問題ありませんが、天袋の影で作業台トップが暗くなるケースもあります。

その場合は、ミニダウンライトかFLトラフ等を手元灯として取り付ける事をお勧めします。ダウンライトなら、天袋の奥行きの中心からやや手前に、トラフなら天袋正面と同じラインぐらいに設置するようにして下さい。

又、トラフにはカバーの付いたタイプもありますが、意匠性も考えて天袋と同じ素材の幕板カバーを取り付ける方が良いでしょうね。
ただ照明を取り付けるちょっとした事なんですが、店舗設計に携わる方なら、作業されるショップスタッフさん達の事までを考えて設計するように心掛けて欲しいです。

長くなりましたが、
ステーショナリーコーナーの図面事例〈壁面・レジ廻り〉は、この記事をもって終了します。
ステーショナリーコーナーは、たくさんの商材があり、什器の種類も多くなってきます。その分、勉強になることもたくさんあると思います。
あと2つのエリアがありますので、飽きずにお付き合いください。
次は、柱廻りエリアのご紹介です。

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