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スポーツスタイルショップの作図集_Part2〈造作&什器〉

先回のご覧頂いたスポーツスタイルショップの環境編はご理解いただけましたか?資料が管理ふるいので、ご不便は無かったですか?何かあればお問い合わせください。

さて本日は、先回の続きで什器編をお送りしようと考えてました。もちろんお見せしますが、図面が抜けていたこともあって、若干の造作の作図も付加しておきます。

フィッティングルームの有効寸法について

上記の図面は、壁面奥に配置している造作フィッティングルーム(以下FR)です。意匠的に特記する所はありませんが、今回はこのFRの有効寸法について少し考えて見たいと思います。


さて皆さんも一度は利用したことのある
FRですが、たまに狭さを感じた経験はないでしょうか?

一般的にFRの大きさは、内寸900mm×900mm以上と言われているかもしれませんが、実際この寸法は女性やお子様にとっての有効サイズなのです。

しかし、男性にとってこの寸法はかなり狭く、とても着替えにくいと感じる事は多々あります。ちなみに男性のFRだと最低でも、1100mm×1100mm以上は必要です。

また、妊婦の方や小さなお子様連れの方にも上記と同様のサイズが必要だと感じます。

以前私の友人も家族で買い物へ行ったのですが、フィッティングルームが狭すぎて何も買わずに帰ってきたと文句を言っていました。

それではFRの有効寸法をどれだけ確保すればいいのか?

その答えは最低でも1200mm×1200mmを確保する事ですね。

ただ、この寸法には条件が付きます。それは女性、男性共に一人用だと言うことです。

女性の場合はゆったりとしたサイズで、男性の場合は狭く感じさせない最低限の寸法だと言えます。

この他に、妊婦の方や障害をお持ちの方用にも有効寸法があるんです。

これらのサイズの参考になるサイトがありますので一度見ておいて下さい。

⇒ 商業施設向けのフィッティングルーム

ファサードボーダーとその役割

この図面は、ショップをアピールするには欠かせないファサードボーダーです。ここではこのボーダーの役割に注目してみます。

この事例のボーダーには、ショップサインの両側に取り扱うスポーツブランドのサインを取り付けて、より多くの集客を取り込むようにしています。

しかし、メインのショップサインの仕様がカッティングシートの切り文字では少しインパクトに欠けているような気もします。どうせなら内照式の箱文字にすればより引き立つファサードサインになっていたでしょう。

おそらくコスト上の問題でカッティングシートになったと考えます。果たして、このサインボーダーで十分なショップのアピールが出来ているのでしょうか?

大型商業施設等での出店の際に隣接店よりも引き立たせて、ショップの持つ個性をアピール出来るのがファサードデザインと言えます。

その中でも重要な役割を持つファサードボーダーは、ショップの顔としてサインやグラフィックを用いてインパクトある広告塔のようなものです。

では実際にグラフィック等を用いたボーダーを見てみましょう。


画像提供元:ミッチャンズBLOG(スポーツタカハシ発信)

幕板状のボーダーにショップのテーマからであるグリーンとサインだけの構成ですが、ダウンライトの光が模様の様にも見えます。

白い空間にとてもグリーンが映えて、インパクトがあります。

変わって内照式のサインも見てみましょう。


画像提供元:株式会社 ロマンチック スタジオ アソシアーティ

30年前の画像ですが、特に古さは感じません。商業施設ではまだこの手法でショップの個性を表現しているようです。

それでは、次に店内の什器構成を見ていきましょう。

レジカウンターの適切な設置位置とサイズについて

さて、ここではレジカウンターの設置位置とそのサイズについて注目して見ていきましょう。まずこのショップの平面レイアウトをもう一度見てみましょう。

ちょうど、ストックの出入口前に配置されているのが分かりますよね。しかもショップ全体を見渡せる所でもあります。

これでスタッフ動線の無駄を極力なくし、常駐するスタッフ人数も最小限にする事が出来るんです。

ただ、ストックと店内への行き来する通路幅が少し狭いように感じます。果たして通路幅をいじめてまでも、レジサイズを確保する必要があったのでしょうか?

出来れば、レジカウンターのワイドを100mm削った方が良かったような気がします。

ストックの出入口前で最低限必要な有効寸法は700mm以上と言われています。しかしこのショップでは615mmと狭いですよね。

また、壁面の陳列エリアにも少しレイアウト的に干渉しています。これではお客様にとっても、スタッフにとっても使い辛いと言って良いでしょう。

では、逆にレジカウンターワイドが2000mm以上も必要かというと、ショップの規模から判断するとそうでもありません。

レジバックの機能も含めて考えると300mm程度は縮小できると考えます。

利便性のあるレイアウトなだけにもう一工夫ほしいところですね。また、本当にこの形状で使い易いのかどうか、また設置位置は適切なのかをもっとよく考察して設計すべきでした。(反省材料)

次に、このレジカウンターの断面図も添付しておきますので参照下さい。

断面詳細図

作図的には、いうことも無く完璧な断面詳細図です。最低限この程度必要と感じます。尚、ここで若干の作図のコツのようなことをお話しましょう。

断面図では、縮尺によって「ハッチング」と「ネタ入れ」で描き上げていきます。私の場合は、1/20縮尺以下では、「ハッチング」。1/10縮尺では、「ネタ入れ」で描きます。

左が、「ハッチング」。右が、「ネタ入れ」です。

テーブル什器とその高さについて

フロントテーブル什器
センターテーブル什器

この図面は、店頭フロントとその後ろに設置している2段テーブルです。同仕様の什器ですが、2段目のテーブル寸法が若干変更しています。

アパレルショップではもう定番のように使用され、どこでもお見かけする什器のひとつです。

同じような2段テーブルでも小さい方を大きいテーブルの下に設置するタイプも多くあります。

どちらのタイプにも共通して言えるのは、その高さです。大きい方で750mm程度で、小さい方は450mmといったサイです。

では何故このサイズが多いのかご存じでしょうか?

店舗内の什器に比べて、店頭に配置する什器は見通しを良くする為に低くするのが通例です。しかも、VMDの観点からでも推奨されているんです。

その為、人が無理な姿勢にならず商品に触れる事が出来るぐらいの高さが最もベストなサイズと言えます。

また、750mmのテーブルトップに半身のトルソーなどを置いてディスプレイすると丁度目線あたりに来るので演出備品と組み合わせるのにも適した高さなんです。

続いて、上置き台となる小さいテーブルの高さですが、450mm未満の範囲は殆どお客様の目に触れない、いわゆるデッドゾーンです。

ですから、什器として最低ラインの高さであり、少し腰を曲げれば商品に手が届く高さでもあります。このように人間工学的な根拠もあって設定された寸法なのでデザイン・設計する際には参考にして下さい。

フレキシブルな基本什器とは

平面図に戻りますが、本来の設計上では、平面上での基本什器は存在しません。おそらく什器メーカーのリース商品と記憶します。

似たような什器資料を見つけたので、添付しました。ワイド寸法は不確かではありますが、概ねこのようなカタチの什器と思われます。

後記

これで、スポーツスタイルショップの作図集_Part2〈造作&什器〉を終了します。Part1〈環境編〉と共に見ていただければ、概ね理解出来ると感じます。

店舗設計の基本形として捕まえて頂いても、決してお粗末な資料ではありません。そして、このよう資料は山ほどあります。みなさんに役立てて頂こうと日々編集に追われています。

これからも、この程度の資料を投稿していきます。主にアパレルが多いと感じます。他だ、店作りの参考にはなりますので、楽しみにしておいてください。純恵でした。

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