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コンパクトスペースで席数を上手く確保した蕎麦屋の店舗事例〈什器図編〉

今回は、小さな店舗の蕎麦屋〈什器図編〉をお伝えします。
環境図編をまだご覧になっていない方は、こちらからお読みください。
⇒小さな店舗で席数を上手く確保した蕎麦屋の店舗事例〈什器図編〉

ファサード意匠との統一感を図ったサンプルケース

店頭のエントランス横にある、サンプルケースの詳細図です。

ファサード意匠を意識して、腰壁には化粧柱と同素材で仕上げるなど、統一感を図っています。
ファサードの全体像をご覧になりたい方は、A展開図で確認できますので参照ください。
⇒小さな店舗で席数を上手く確保した蕎麦屋の展開図

ただ、腰壁の高さだけは低く設定して、ケース内のディスプレースペースを広く取れるようにしています。
A断面図では、ケース内上部からのダウンライトと各棚の棚下照明、そしてケース内の熱を逃がすために熱抜き孔位置を表現しています。

また、ケースの正面にはメンテナンス用に引き違いのガラス戸にしています。
B断面図では、スリットピッチとラインコンセントの位置関係を把握できるように描いています。

各断面図の横には、ガラス引き戸とガラスFIX部分を拡大した詳細図を描いています。
添付してありますので、収まりの参考にしてください。

シンプルに「和」を表現したファサードスクリーン

店舗の外観は、意匠よってその店の印象を左右させる程に重要な箇所です。
極端に言えば、入りやすく思われるか、入りにくいと思われるかのどちらかです。

和食店の中でも、うどんや蕎麦はとても大衆的なポジションであり、身近な飲食店だと言えます。
そのため、奇をてらった意匠というより永続的に親しまれるシンプルさを重視して、あえて造り込みをしないデザインにしています。

この図面ではファサード部の一部分を切り取って表現していますが、連立する化粧柱のピッチはほぼ均等になるように設定しています。
白木色の化粧板で仕上げ、腰壁も同じ仕上げのパネルを取り付けてあります。

また、連立する木目の意匠にアクセントを与えるために単色の化粧板を腰壁中央に貼っています。
巾木にはグレー系の化粧板を使い、ナチュラル色の色合いを引き締め、際立たせる効果を発揮しています。

腰壁の上部には、透過性がありつつ、外部からの視線を遮ることができるようにガラスにフォグラスシートを貼り込み、スリガラス風にしています。

フォグラスシート:中川ケミカル

化粧柱とガラス納め部分の詳細を、添付しておきますので、参考にしてください。

「お客様の目線隠し」ローパーティション

店内の客席間に2カ所設置した、パーティションの詳細図です。
上記に、設置場所を赤ラインで明記しました。ご参照ください。

まず、客席中央のパーティションです。

この蕎麦屋は、木目の化粧板とじゅらく風クロスを使って和風の環境です。その中で、単体の什器はすべて薄めの単色で仕上げています。

単色にしたことで、和風の環境が強調され、全体的に調和のとれた落ち着きのある空間になりました。

パーティション上部には、格子状のパネルを取り付け、「和」を意識したデザインになっています。

次に、手洗いカウンターと客席間に設置したパーティションです。

こちらは、客席とデシャップエリアを間仕切るためのパーティションです。
中央に設置したものとは、少し役割が違ってきます。ですので、格子の意匠はなくしています。

このパーティションは、意匠より機能を優先しました。
取り付け方法は、インロー式にしています。スチールの角パイプを支柱にして、上から落とし込む手法です。

狭いスペースに設置した引き違い扉の収納什器

厨房前の仕出しカウンター横に設置した、収納用のストックボックス詳細図です。
客席のすぐ横にある事と、狭いスペースを有効に使うため、引き違い扉を使っています。

2台、並んで置いています。
位置関係は、平面図でご確認ください。
⇒小さな店舗で席数を上手く確保した蕎麦屋の平面図

機能的にはどちらも全く同じですが、ワイドの長さを変えています。
これは、図面と現場との寸法誤差を調整するために、片方だけワイドを長く製作し、現場で設置する際にカット出来るようにしたのです。

こういった、現場でカットして調整する事はどんな物件にもありえます。
ただし、この現場加工は金物製の什器には不可能なので、木製什器に限ります。覚えておきましょう。

最低限の機能のみの小さなレジカウンター

特に意匠的なこだわりはなく、機能重視の什器です。

このレジ台の設計には、頭を悩まされました。それは、レジを置く天板の高さとその大きさです。

どんな業種でも、だいたい床から750mmから800mm程度の高さが一般的とされています。
また、レジ本体のサイズも様々あるので、天板の大きさは最低でも600mm×600mm以上は必要です。

最近では、キャッシュレス決済の普及でレジ以外の機器も必要となり、すぐに対応出来るようになりました。ですので、端末を天板に置くスペースも必要です。

36席分のテーブルを確保しなければならなかったため、レジ台はこの位置に決まったのですが、やはり600mmでは小さいかもしれません。

パントリーカウンターの姿図と詳細図

レジ台に続いて、パントリーカウンターの詳細図です。

特に、意匠的に凝ったことはしていません。
レジ台と同様に、機能面を充実させた什器となっています。

もっとも懸念されるのが、厨房側の側板に保健所の指導で設置した手洗い器ですね。もし設置を怠ると、営業許可がおりない場合もあるのです。

壁面には厨房器具がびっしりと詰まっているので、苦肉の策としてこのパントリーカウンターの側面に急遽取り付ることにしました。
ただこの場合、取付面の防水対策や補強指示が必要です。

開口部の高さと素材がポイントになる返却カウンター

厨房前にある、返却カウンターの詳細図です。
厨房内で洗浄するため、食べ終わった食器類を置くカウンターですので、シンクや食器洗浄機に近い所へ設置します。

注意すべきポイントは、開口部の高さとその素材です。
開口部の高さは、厨房側にあるシンクや作業台の高さに近い位置が望ましいです。

厨房器具の高さはだいたい800mmの高さが多いので、このサイズを基準として考えるとこの図面では少し高いですね。

二つ目のポイントは、返却口の仕上げ材です。
ソースや汁物が残った食器を乗せるので、この部分だけは耐水性を高くしておくことが必要です。
そのため、返却口廻りにはステンレスを巻き込むようにしました。

手洗い器で「和」を演出した手洗いカウンター

この手洗いカウンターが、この店舗の最後の什器図となります。

このカウンターは、主にお客様用として設置したものです。
手洗い器には、和食店に合うように陶器でできた器型のタイプにしています。

手洗い器: ダイナワン

質感や色合いは、和の雰囲気を演出するには最適だと思います。ですが、本来の洗面器としてはどうかと個人的には疑問を感じるのです。
好き嫌いもあるので、なんとも言えませんけどね。。。

このタイプの洗面器を使うと、とにかく水が跳ね返って天板が水浸しになってしまいます。
小ぶりで趣のあるフォルムなのですが、機能的な面ではあまりおすすめはしません。

以上で、蕎麦屋の図面事例は終了です。

什器の種類、結構たくさんありましたね。
小さな店舗であっても、飲食店にはこれだけの什器が必要だと言うことです。
もちろん店舗によって違いがあると思いますが、何が必要で、何が必要でないかを、事前にしっかり打ち合わせしなければなりませんね。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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