今回から新しく、メンズカジュアルショップのご紹介です。
エスカレーターサイド(以後エスカサイド)の小さな区画なので、図面枚数は多くありません。しかし、そのコンパクトな空間を上手く生かしています。
あまり他にない図面事例ですので、ご紹介することにしました。では、ご覧ください。
コンパクトながらも回遊性のある平面レイアウト
この店舗の右側は、別のジーンズショップが入っていますが、今回ご紹介するのは、左側のショップとなります。
区画に奥行きが無いため、左の柱巻きは、エスカレーターを利用するお客さんに対してのアイキャッチとして、ボディとニートモジュールを使ったディスプレイにしています。
右の柱巻は、フィッティングルームを抱き合わせたレイアウトし、右側の店舗と連動を図ってます。
これは、別々にビジュアルポイント(VP)を設けるよりも、トータルディスプレーとして設けた方が、より訴求力ある演出が出来るからです。
これによって、互いの商品での組み合わせによる相乗効果でショップ内の回遊性を向上させる事にも繋がります。
中央の什器も、通路に対して垂直に置き、奥壁面へアプローチも容易く、客導線を意識したレイアウトになっています。狭いながらも、立地特性を活かしたショップと言えます。
ショップ間に演出スペースを設けた展開図
続いて展開図です。
まずは、キープランで展開方向を確認してください。
A・B展開図は、通路からショップフロントを見た展開図です。
通路から見て左側の柱巻きは、リースライン側にはロイヤルのニートモジュールによるディスプレーでエスカレーターを利用するお客さんの演出をしています。展開図のE面ですね。
右側の柱巻きには、大きな面を活用したVPと陳列が出来るスペースとなっています。
両方の柱巻きには共にサインパネルをイメージカラーで塗装し、ショップを区切るゲート的な役割を果たしてます。
C展開図とD展開図が、奥面の壁面什器を内外から見たものです。隣接したジーンズショップの什器との間に、ブランドを区切る棚什器を設置しています。
この棚什器は、両ブランドの壁面什器で陳列する商品とコーディネイト出来るアイテムや、双方のショップイメージに合う演出をするスペースとして活用出来ます。
そして、E・F展開図は左の柱巻の左右面。
E展開図は、A・B展開図でご説明したニートモジュールを使用したディスプレースペースです。
G・H展開図は、VPパネルの左右にフィッティングルームを設けています。
特にこれと言った装飾はありませんが、色でショップを区切るオーソドックスな手法を使って上手くショップの個性を打ち出ししています。
エスカサイドショップのイメージスケッチ
展開図に続いては、イメージスケッチです。
隣接するジーンズショップの什器の情報がなかったので、このイメージスケッチでは箱で表現しています。
2本の柱には、シンメトリになるようにディスプレーパネルを設置して、ショップをくくるゲートのようにしています。
手前の柱のもう1面には、ニートモジュールを使ったフェイスアウト陳列。そして、トルソーでエスカレーターの利用客に着装感あるディスプレーで店内への誘導を促しています。
売場の見せ場を作る柱巻の姿図と断面図
まず、左側の柱巻です。
2枚のディスプレーパネルで柱を挟み込み、右側にニッチを造っています。
部分詳細図を見て頂くとわかるように、正面と裏面のパネルにはスリットパイプを内側に向くように取り付けています。
ディスプレーパネルとして、スッキリとした見え方になるようにスリットの向きを変えているのです。
ただ、パーツは別途加工が必要です。
この柱の左側の面では、ニートモジュールを使ったディスプレーをしています。また後でご紹介いたしますね。
右側の柱巻も先程の柱と同様、パネルで巻いています。
こちらは、転用FRを抱き合わせているので広い面でのディスプレーが出来ますね。
隣のジーンズショップのディスプレー什器もこの柱前に設置されるので、トータルディスプレーとして使う事も出来ます。
また、展開図を見て頂くとこのディスプレーパネルがシンメトリになっていて、ショップの門構えにもなっている事がわかります。
1区画に2店舗が入るケースでは、個々のショップとして主張しながら、互いに協調していくバランスが大事になってきますね。
左側の柱の左面、ベルラ(旧ニートモジュール)を埋め込んだ柱の外観図です。
サイズの違う棚をランダムに取り付ける事で、ディスプレーに動きを加味させています。
また、フェイスアウトパーツによるディスプレーも可能なので、シーズンやイベント時に様々なシーン演出にも十分対応します。
このベルラはスリットと違い、パーツを外した状態でも意匠的にさほど目立つものではありません。そういった事から、様々なショップに使われています。
⇒ロイヤル ベルラ
エスカサイドに設置した壁面什器
エスカレーターサイドのサッシュ前に設置した、3連式の壁面什器です。
図面としては、ちょっと詰め込み過ぎですね。全体的に寸法指示が少なく、上部の詳細図も不足しています。
詳細図が描かれている、他店の図面があればいいのですが。。。探してみます。
平面図と立面図は、途中から断面表記になっています。
複雑な什器や、断面図で表現出来ない時にこの描き方が有効になります。
この事例の平断面図では、支柱の形状とガラス棚のスペーサー(補強パイプ)位置等を表現し、立面の縦断面図では、上部のボックス内部を表現しています。
さて本題ですが、エスカレーターサイドも1つのディスプレーエリアとなります。
ですので、什器にはシースルー感を持たせる事が必須となります。
また、エスカレータから必ず什器トップが見えるので天板が必要になる事をお忘れなく。
続いて、壁面の棚什器をご紹介します。
隣接ショップとの境界部に設置されたこの什器は、売場を区切る役割を果たしています。
店舗によって袖壁や行灯ボックス等、様々な形態で区切られるのですが、今回はエスカレーター前という事と、区画内の回遊性を上げる為に両ショップでも使える棚什器で代用しています。
ただ、必ず隣接ショップとの協議が必要となります。
基本的に仕様はどちらかのショップの仕様に合わせる事が多いのですが、双方のショップと全く違う素材を使ってショップの境界ラインを明確にする場合もあります。
百貨店で扱うブランドは、数多くあるのでいろんな形でショップを区切る什器などがあります。一度探索してみてはいかがでしょうか?
売り場の基本什器であるシステム什器
壁面什器に続いて、中央の什器をご紹介します。売り場の基本什器である、システム什器です。
フォルム的には、よく見かける什器です。
でも、図面をよ〜く見てください。スリットパイプの向きが、ちょっと異なっていますね。
一般的なフレーム組の什器では、向かって正面や両サイドにスリットパイプを取り付ける事が多いですが、この什器では中央向きにスリットパイプを取り付けています。
これは、壁面什器等にも共通した仕様です。スリット自身を、極力見せない様にする為にとった手法なのです。
そうすることで、パーツを別注で加工しなくてはなりません。コストが上がりそうですね。
小さなスペースに設置できるTハンガーラックの姿図
実施図としては、ちょっと内容的に淋しい図面となっていますが、T字ハンガーラックは支柱とT字部分ぐらいしか、詳細図を描く箇所がないのも事実です。
形状も、マネキンメーカーのものとあまり変わり映えしません。他の什器との仕上げや、使用するパイプサイズを共通にする為に描かれた図面のようです。
このT字ハンガーラックで、メンズカジュアルショップの最後の図面となります。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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