先回の〈環境図〉に続き、今回は〈什器図〉のご紹介です。前回の記事は、以下サイトからご覧いただけます。
繊細なフォルムが特徴のオープン棚什器
この図面は、スチールのフレームとクリアガラスで構成したオープン棚什器です。フォルムに、デザイナーのこだわりが現れています。
フレーム仕上げはステンレスの黒鏡面仕上げで、120mmの幅だけで側面のガラスを支えていて非常に不安定に見えますが、巾木にもガラスを差し込むようにしているので見かけより安定しています。
両側板を結んでいる照明カバーも、フレームと同サイズにしてガラスの透明感を極力損なわないように考えられています。
ただこのオープン棚什器の重量は相当重いので、移動させる時には一苦労しそうな気がします。
また、ガラス面が多いので何らかの衝撃でガラスが破損してしまう可能性も十分あるので、飛散防止フィルム等の安全対策が必要ですね。
オリジナリティのあるシングルハンガーラック
オープン棚什器に続いては、シングルハンガーラックです。
支柱とステージの前面フレームを繋げ、一つの意匠としてデザインされたシングルハンガーラックです。
上部のハンガー部分も、持ち出した形状にしてオリジナリティを感じさせます。
この事例も含めて、シングルハンガーラックで注意すべき点は、ハンガー高さをマックスにした時の安定度合いです。
基本的にインロー式が一般的な高さの可変方法なので、支柱とインローパイプとの掛かり具合が大きければ問題はありません。もし、少なすぎると商品の重量でハンガー部分がお辞儀をしたようになってしまうので、必ずインローパイプと支柱の検証をした方が良いでしょう。
機能面を重視した接客カウンターの姿図と断面図
非常にシンプルで、機能面を重視しているカウンターです。特に注意すべき点はありませんね。
あえて挙げるとすれば、お客様が立つ面の腰に荷置き台を取り付ける事ぐらいです。
この図面の状態では、お客様は接客カウンターからちょっと離れて立たなければななりません。そのため、カウンターとの間に隙間が出来てしまいます。
そこで、腰面に荷置き台を付けてこの隙間を埋め、お客様との距離を無くしてしまうのです。
また、腰に蹴込みを付ける事でも、同様の効果を得る事が出来ます。
状況に応じて使い分けしても良いでしょう。
繊細なデザインのスタンドミラーの姿図
この図面はスタンドミラーの姿図なのですが、必ず注意しなければならない点が1つあります。
それは、什器の高さとベースのサイズバランスです。
このスタンドミラーでは、1650mmの高さに対して400mm角のベースになっていま。ちょっと不安定ですね。
何かが当たった際には、簡単に倒れてしまう可能性があります。
それを回避するには、ベースの底面にウェイトを取り付ける。
または、ベースサイズをもう一回り大きいサイズにして全方向に対しての荷重に対応出来る様する。
安全対策にも、十分気を付ける必要があります。
ベルトフック什器の姿図
続いては、ベルトフック什器です。
メンズショップなどで使われる、ベルトフックと機能的には同じです。ただ、サイズはちょっと小ぶりになっています。
また、先ほどご紹介したスタンドミラーとのサイズバランスも考えられています。
しかし、ベース部分が他の什器と異なっているので、ベースのデザインを統一しても良いかもしれませんね。
このベルトフック什器の様に、フックも全て焼き付け塗装をしている什器は、商品との接触によって焼き付けやの塗膜が 剥がれて来る事が多々あります。ですので、何らかの剥がれ防止処理をしなければなりません。
ハンガーパイプの場合では、ステンレスのフラットバーやシャフトを取り付ける事で解決します。
しかし、今回の事例の様に比較的細いフック等では、樹脂系のカバーをする事ぐらいしかありませんね。
ウェイティングソファーの姿図
フィッティングルームで試着している方を待ったり、靴等の試着をする為によく設置するウェイティングソファーです。
図面的には3面図のみで参考になりませんね。
売場の中で唯一、モノトーン以外のカラーで仕上げていますが、モノトーン調の空間にポイントとしてビビッドなカラーを使う事で華やかさを演出しています。
ただこのソファを設置する場合は、空間にある程度のゆとりが無ければ設置する意味がありません。
そのため、売場の広さとソファーサイズには十分注意して設計しなければなりませんね。
「シンプルで心地良い服を展開するレディースショップ」は、この図面が最後の作図事例となります。
最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
デザインランキングに参加してます。応援お願い致します！
↓ ↓ ↓
デザインランキング