〈Part-2〉では、柱巻き造作図、壁面什器や中央什器の詳細図をご覧いただこうと思います。
環境図を中心にご紹介した〈Part-1〉は、こちらをごらんください。
⇒ 明確なVMD構成が素晴らしい婦人服店の図面事例〈Part-1〉
ガラススクリーンを生かした柱巻き造作図
まず、ガラススクリーンを上手く生かした店頭柱巻きの解説をご紹介します。
一見してもその素晴らしさは理解できると感じますが、私は店舗設計者としてこんなに上手く柱を活用した図面を見るのは希ですね!
柱の各それぞれの面の機能も含め、変化に富んだ見せ方、売り方を明確な演出でお客様にアプローチしています。
それでは、VMDを上手く盛り込んだ柱巻き図面について詳しく説明していきます
豪華な雰囲気を演出したファサード
実際に何が素晴らしいかというと、お客の目を釘付けにするフロント演出です。
ガラススクリーンを挟み、豪華な雰囲気が漂うブラケットが女性目線に訴えることでショップの存在を明確にしています。
この雰囲気は、とても効果があると感じます!
ここでは凝ったステージ演出はせず、日々の店頭ディスプレーを絶えず変化させるもくろみがあります。
要は、ディスプレーのお変わり戦略みたいなものです。
変化の無い店頭の固定型ショーウインド演出では無く、毎日のようにディスプレーを変えてやるのです。
そうすることで、売り上げ効果に変化が生まれます。
これは当たり前のことであって、私もアパレル勤務時代はよく試したものです。
ゴージャスなブラケットと、ガラススクリーンの詳細図を載せておきます。
ガラススクリーンを挟んで、照明器具が取り付けられているのがよく分かりますね!しっかりした収め方が伺われます。
続いて、今回の柱巻き図の他の三面を説明していきます。
インロー式で収められた固定棚
次は、ファサードから見て右面を表現しています。
シンプルな固定棚があり、その右横にちらっと見えるのが、固定ハンガーパイプです。
シンプルな棚の秘密は、その収め方にあります。
インロー式って言って、スリットと違い棚板以外は目に見えるものが無いのです。
ベテランの設計者にはお馴染みの収め方となりますが、意外と知らない方が多いと最近知りました。ここで拡大図を添付しておきます。
ちょっと見にくいかもしれませんが、LGSにインロー用フレームを取り付けるベースを溶接か何かで取り付けます。
その後、PB壁面から飛び出たインローフレームを棚板に差し込んで、棚下からビス止めとなって完成です。お分かりですか?
尚、この図面は過去のもののため、照明器具がLEDではありません。
ですので、棚下照明に関しては割愛します。
インロー式で収められたハンガーパイプ
次は、ファサードの後ろ側の柱巻きを表現しています。
柱面の仕上げは、他の面と同様ダイノックシート貼りになっています。
そこに、これまたインロー式での収めでハンガーパイプが取り付けられています。説明は前述の固定棚と同様です。
ただ、PB壁面から飛び出るインローフレームは2本です。
ここでの注意するところと言えば、ハンガーパイプの支柱が3本と言うことと、固定の仕方が直接となってしまうということです。
これについては、事前に百貨店側に確認が必要です。
それでは、ハンガーパイプの拡大図を見ておいてください。
これを見れば、もうお分かりでしょう!
ちまたで見る、固定棚もハンガーパイプも全てこのインロー式で収められているのです。
ただ、これ以外でのインロー式での収めは多くあるのですよ!
期を見てご紹介しますので楽しみにしておいてください。
ニッチを利用してVP効果を上げる柱巻
これは、本当に上手い使い方だと感じます。
通路に面している柱巻きの正面では、ショー的イメージのあるディスプレーでお客様の目を引きつける。
その後は、柱巻き三面でそれぞれの陳列をして購買心理を上げると言った手法です。
この柱巻きの演出ある見せ方は、他に類の無いモノと私は感じます。何故かというと、それぞれの面が違った機能で商品を陳列していることです。そして、・・・・・。
違った機能(棚、ハンガー)で商品を見せることは、それぞれの商品の特性を生かした販売方法であると考えますし、見せ方感も変化しますから、お客様にとってはとてもバリエーションを感じるはずです。
このことが、最終的に販売に結びつくと確信します。
そして、今回の事例であるニッチ棚でのVP(ビジュアルポイント)を兼ね備えた演出的販売は、この柱巻きがより良き集客の場となることは間違いないと感じます。
実際の商品を置くも良し、アクセ関連の服飾雑貨を置くも良しと、様々な展示が可能です。
また、商品に限らず大人の女性のライフスタイルを感じさせる雰囲気のある小物も展示すれば、相乗効果も生むでしょう。
ただ、柱巻きだけにワイド寸法が無いのが残念です。
では、最後に断面詳細図を添付しておきますので、是非参考にしては如何かな?
棚の奥行きが、400mmもあるので様々なトップス関連の商品を展示することが出来ます。
また、前述した小物演出と商品展示も面白いかもしれません。
以上、ガラススクリーンを上手く生かした店頭柱巻きの事例でした。
演出照明が素晴らしい壁面造作什器
ここは、壁面のデザインにも素晴らしいものがあります。
全体平面図を見るとこの壁面の裏は通路ですのようです。
ですからデザイナーさんはこのようなデザインを考えたのでしょう。
裏が通路であるならば、単純に考えて壁面をクローズ場合がほとんどです。
しかし、出来が良いデザイナーさんはショーウィンドとして利用したのです。
とても上手な手法ですね。
参りましたと同時に、このテクニックはあらゆる意味において利用する価値はあります。
演出照明が素晴らしい壁面造作とは?
まず、基本設計を見て素晴らしと感じたのは、前述したようにこの壁面の裏は通路です。となると、その通路からのアプローチも考え、ウインドウを設置したことです。
2番目には、固定式のハンガーラックで商品を通路側方も見せるといった考え方です。おまけに、ハンガーラックのステージに演出照明を組み込んだことです。
どうですか? ご理解いただけます?
ちょっとした思いつきだとは感じますが、素晴らしい演出です。店舗設計者としてリスペクトに値するデザイナーさんですね。とても勉強になりました。
什器自体は、それほど奇をてらったものでは無く、普段目にするものです。
ただ、その設定の仕方が上手いのです。
今回の事例での詳細図を載せておきますので、参考にして活用しても良いのでは・・・・・。
固定式のハンガーラックのステージに、演出照明が組み込まれているのがよく分かりますね。
ここでは、床固定と壁面固定でこのハンガーラックを収めています。
尚、この収め方は基本中の基本ですので是非、覚えておいてください。
壁面に固定された多機能なハンガーバー
この什器は、とても上手く考えられていますので、是非ご一読ください。
壁面には様々な自立型の什器がある中、何が上手く考えられているのかを探ってみる価値はありそうです。
場所はお分かりですか?
壁面奥、トルソーケースを挟むカタチに配置されています。
同仕様のものが、2台並んでいます。
興味深いのは、壁面からの固定ハンガーと、四方枠が付いたシステム什器での構成が上手く考えられていることです。
そしてこれらの什器は、分離して使うことも出来るのです。
二通りの使い方で、壁面を演出できると言うことですね。
奥壁面の、見え方が変われば売場も変わり、絶えず変化のある売場造りが出来るのですが、お分かりですか?
デザイナーさんの意向は分かりませんが、私の考えるところ「一粒で二度美味しい!」といった感じもします。
ショップ内でのレイアウトの変更は出来ないように感じますが、分離する二つの什器を使った例は、とても希で過去には類を見ない什器でしょう。
汎用性のある預かり兼、ストック什器
私はキープボックスと呼ぶことがあるんですが、一般では預かりケース、取り置きケースなどと呼ばれています。
百貨店やテナントの場合、特定の倉庫が持てないのでショップ内でストック代わりに使われることもあります。
ただ、この什器があると使用価値の範囲が広いため、設計打ち合わせなどでレイアウトに組み込むと非常に喜ばれます。
作図も簡単で、1時間もあれば誰にでも描けると思います。
あなたはどうでしょう>?
この什器は、デザインも洒落てるし、良い感じに仕上がったと思います。
そこで、断面図を載せておきますので図面をしっかり読み取ってください。図面を描くことは図面を読むことからはじまります。
左側の断面図は、主にトップスやボトムスを。
ハンガーが表現されているところは、長手のコートやワンピースを収納します。
収めもそれほど悩ます材料はありません。
ただ、取手がインロー式での収めとなっていますので注意深く読み取ってください!
では、「明確なVMD構成が素晴らしい婦人服店の図面事例〈Part-2〉」は、これで終了です。
最後の〈Part-3〉は、単品什器を中心にご覧いただきます。
お付き合い、ありがとうございました。
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