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昭和レトロ風な小洒落た大衆食堂の図面事例〈各部詳細図編〉

昭和レトロ風な小洒落た大衆食堂環境編に続きまして、各部詳細図をご紹介します。

環境編をまだご覧になっていない方は、こちらからどうぞ。
昭和レトロ風な小洒落た大衆食堂の図面事例〈環境編〉

ファサード断面図(3箇所)

ファサードの、主要箇所の断面図です。

A断面図は、店頭のサンプルケースとテイクアウト用に設けた引き違い戸部分となります。
テイクアウトに来られたお客様に対応するため、サンプルケースのサイズを抑えて低い位置に取り付けています。この高さなら、客様がメニューを見ながら注文することができますね。

ただ、上部にシャッターがあるので、ケースと外壁との間に隙間が出来てしまっています。
ケースを店内側に埋め込む形も考えられましたが、店内の有効面積を確保するために、致し方なく壁面の外に設けることとなりました。

B断面図は、入り口の引き戸の部分です。
上部には、火災時に店内の煙を逃がす為の防火ダンパーを設置ししました。

引き戸の姿図姿図と断面図は後ほどご紹介しますが、以下のサイトでは、引き戸詳細図の描き方をより詳しく解説しています。ぜひ、参考になさってください。

引き戸の姿図姿図と断面図は後ほどご紹介しますが、以下のサイトでは、引き戸詳細図の描き方をより詳しく解説しています。ぜひ、参考になさってください。

C断面図は、演出も兼ねたかまどの側面が見える部分です。
断面図は、次でご紹介しています。

昔ながらの炊き方にこだわって設置したかまどは、お客様の視覚と嗅覚にとても大きな刺激を与える仕掛けと言えます。
このように近年の飲食店では、店頭に実演スペースを置くことで「食」味わうことだけにとどまらず、見て楽しむエンターテインメント性を付加する店舗が多くなってきています。

かまどの姿図と断面図

この大衆食堂の料理で、最もこだわっているのがお米でした。そのため美味しいごはんが炊ける、昔ながらのかまどがこの店舗では重要な演出要素となっています。
店頭に実演スペースとして設置したのも、この点が大きな理由ですね。

〈かまどイメージ〉画像引用元:ウェザーニューズ

かまど本体は土間の台所にあったものをイメージして、モルタルに那智黒石を混合した仕上げになっています。

那智黒石

乾いた状態ではグレーですが、雨に濡れると黒色になるのが特徴の変化が楽しめる玉砂

ガスで火を使う所なので、スクリーンには耐熱ガラスを使い、サッシュには耐火性の高いステンレスにしています。

ただ、スクリーンの中間にある横サッシュは、視界を遮る事から最終的になくなったかもしれません。

ただ、スクリーンの中間にある横サッシュは、視界を遮る事から最終的になくなったかもしれません。

エントランス引き戸の姿図と断面図

昔ながらの食堂にとても似合う建具を考えると、やはり引き戸がまず浮かんできます。
のれんと引き戸の組み合わせも、趣のある和の雰囲気を感じさせるにはもってこいです。

引き戸本体は、框戸の形状です。内部に格子とガラスを組み込んで、お客様をあたたかく迎える入りやすさを演出しています。

今回の事例では、引き戸にクリアガラスを使用しています。
もし、よりアンティーク感を演出するのであれば、次にご紹介するレジ横パーティションに使用した、板ガラスを使うのも手ですね。
コストはかかりますが・・・。

さて、機能的な視点から一つ。
今回は上枠を鴨居のように溝を掘り込んで、引き戸が可動出来るようになっています。ただ、建具サイズと重量、そして使用頻度を考慮すると吊り式の方がスムーズに開けることが出来るでしょう。

レジ横パーティションの姿図と断面図

この店内には、2つのパーティションがあります。
そのひとつが、レジスペースと客席とを間仕切るパーティションです。

ゆったりしたレジスペースを確保できなかったので、閉塞感を感じさせないように高さを抑えたパーティションにしています。
ただ、店長室に入る建具に高さを合わせても統一したラインで、整った見え方にする考え方もありますね。

客席の状態も把握できるように、腰上にはガラスをはめこんでいますが、店舗イメージに合わせて型板ガラスにしています。この型板ガラスは、アンティークな雰囲気を演出する素材としては良く使われる表面を加工したガラスです。

格子パーティションの姿図と断面図

では、もう1つのパーティションです。

デシャップカウンター横に、おしぼりやショーケースを設置するスペースがあります。その袖壁上部に取り付けた格子パーティションです。
無機質な袖壁を、ワンポイント的な意匠で変化をつけました。

格子の縦残には少しアレンジを加え、正方形を45度の角度に回転させて、取り付けています。
一般的な格子に比べると洗練された意匠ですが、この格子と共通する意匠が何処にもないところが、唯一残念な点です。

袖壁に格子を取り付けたことは、意匠的な視点だけではありません。機能面からも、利点があります。

厨房内からでは、この壁が邪魔になり、店内の様子を把握しにくい状況です。そこで、壁の一部に格子にする事で、少なからず奥のカウンター席まで見ることが出来るようになっています。

デシャップカウンターとコルトンボックスの姿図と断面図

このデシャップカウンターの本体は、厨房器具とで構成されています。

トレイをのせる天板だけ木工で製作し、腰部には天板と同色のシートを貼って、厨房器具とわからないようにしています。天板には、トレイをスムーズにスライドさせる為にステンレスの角パイプを埋め込んでいます。

同じセルフスタイルの飲食店の多くが、この天板と同じ形状を使っていますね。
これは、トレイのスライドによって天板が傷つくことも防いでくれる効果もあります。

また、ショッピングマートにあるフードコートなどでは、メニューそのものの写真をコルトンボックスで表現しているのが一般的とされています。

しかし、この事例では「食堂」を意識して、おすすめのメニューをユニークな筆書きで表現しています。

より食堂の雰囲気を演出する材料として、小さなのれんをコルトンボックスの底面に取り付けてもいいでしょうね。
コルトンボックスの後ろ面、厨房側はオープンにして天袋として利用できるようにしました。

壁面造作カウンターの姿図と断面図

店内奥の壁面にある、小さなカウンター席です。
椅子のサイズにもよりますが、大人4人が並んで座るには丁度良いワイド寸法です。

天板は、テーブル席と合わせて統一仕様にして、壁面にも同じ100角タイルを貼ってあります。

天板と荷置き台には壁面から補強パイプで固定しているのですが、お客様が肘を付いたりと荷重が多く掛かるので、補強パイプの本数を多めにしました。

見切り上部の壁全面には、レトロ感を感じさせるビジュアルを貼るようになっています。
疑似窓のようにしてみても、良いかもしれませんね。

以上で、昭和レトロ風な小洒落た大衆食堂の図面事例〈各部詳細図編〉は終了です。
次回は、什器図編をお伝えします。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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